第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2023年10月9日(月) 14:50 〜 15:30 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-057-C] ポリファーマシー是正に向けた保険薬剤師による介入と減薬に至った事例報告

柏村 寛和 (アポクリート(株) アイランド薬局 八山田店)

【目的】
薬剤師の役割としてポリファーマシーの是正があるが、処方内容や患者の体調変化がなければ見過ごされがちである。そこで、漫然・重複投与が疑われる患者を抽出し、患者に同意を得て、トレーシングレポート(以下、TR)による処方提案を行い、ポリファーマシーの是正に取り組んだので報告する。
【方法】
2022年8月1日時点で消化性潰瘍治療薬の重複投与が認められる患者およびかかりつけ薬剤師指導料を算定している患者(以下、かかりつけ患者)のうちポリファーマシーと考えられる患者を対象とし、重複・漫然投与が疑われる薬剤について減薬の必要性を説明後、患者に意思を確認し、医師にTRを送付した。その後、処方内容を確認し、処方変更となった患者については4週間後に体調変化等の確認をした。
【結果】
TRを送付したのは重複投与の患者6名、かかりつけ患者5名の計11名。そのうち減薬に至ったのはかかりつけ患者3名であった。1名は4種類減薬の後、別の疾患にて2種類追加となったが、服薬調整支援料1の算定につながった。他の2名は1種類減薬となり、4週間経過後の体調変化はみられなかった。残り8名は減薬に至らなかった。
【考察】
本研究で減薬に至ったのは、かかりつけ患者のみであり、重複投与の患者では減薬に至らなかった。かかりつけ患者は、患者や家族からの情報収集が十分に行えており、患者背景を踏まえた具体的な提案ができていたことが減薬につながったと考えられる。一方で、減薬に至らなかった事例は、医療機関との連携が不十分であったこと、医師の理解を得るための情報や根拠が不十分であったことなどが考えられる。このことから、ポリファーマシーの是正のためには、かかりつけ薬剤師として詳細に患者背景を把握し、その個々の患者背景を加味して医療機関へ提案することが有用だと思われる。この取り組みを続けることにより、医療機関との連携強化にも繋げていきたい。