第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2023年10月9日(月) 14:50 〜 15:30 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-087-C] 調剤業務の分担状況における、調剤過誤・事故発生への影響

錦 夕佳, 澁澤 一樹, 宮原 好美, 信惠 理香, 中野 弘子, 村上 宏美, 中嶋 仁美, 石橋 若菜 ((株)アイセイ薬局 薬局事業支援本部 薬事指導部)

【目的】
当社における調剤過誤・事故について、調剤業務の分担状況が発生率に起因している仮説が生じた。調剤過誤・事故の発生状況を分析し、発生件数を減らすための方法を検討する。
【方法】
集計1:当社全店舗に対し、アンケート調査を実施し、薬剤師数が3人以上の店舗について、1) 店舗ごとの人員体制の把握2)「調製」「鑑査」「服薬指導」の担当者パターン毎の処方箋枚数3)調剤過誤・事故発生時の担当者パターン毎の発生件数。の3点を集計した。
集計2:該当店舗の2022年度上期受付処方箋276万枚に対する調剤過誤・事故件数から、当社における調剤過誤・事故の平均発生頻度を算出し、1と仮置きし、2)3)により算出したパターン毎の調剤過誤・事故発生頻度を比較分析した。特に、鑑査者と服薬指導者が同一か否かによる差、及び医療事務による調剤業務への関与による差に着目した。
【結果】
パターン毎の処方箋枚数から、該当店舗の調剤過誤・事故の発生頻度を算出し、発生頻度は、結果1:鑑査・服薬指導者が同一者=1.27、結果2:鑑査・服薬指導者が別者=0.52であった。このうち、調製者が医療事務であったものは、結果3:鑑査・服薬指導者が同一者=1.56、結果4:鑑査・服薬指導者が別者=0.21であった。
発生頻度は結果3>結果1>結果2>結果4の順であった。
【考察】
結果1と2の比較より、鑑査・服薬指導者が別の場合は、同一の場合に比べ調剤過誤・事故発生頻度を約2/5に減らすことが示唆される。
結果4により、医療事務が薬剤を取りそろえることによって、より調剤過誤・事故の発生頻度を減らすことが出来ると示唆される。この場合結果3を踏まえ、医療事務が薬剤の取りそろえを行う場合には鑑査・投薬を同一とした場合のリスクが高くなるため注意が必要である。また、結果2と結果4の比較により、医療事務に調製ミスが少ないということが示された為、理由についても今後さらに調査したい。