第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム11
「薬剤師が施設の往診同行を行う意義~チーム連携さらなる躍進へ」

2024年11月3日(日) 09:00 〜 10:30 第3会場 (3階 315)

座長:立入 節子(株式会社アイセイ薬局 本部長)

[SY11-3] 医薬協業で支える施設在宅を実現するために

狭間 研至1, 2, 3 (1.ファルメディコ株式会社 代表取締役社長 医療法人嘉健会 思温病院 理事長 一般社団法人日本在宅薬学会 理事長, 2.医療法人嘉健会 思温病院 理事長, 3.一般社団法人日本在宅薬学会 理事長)

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少子化と高齢化が同時に進行する我が国で、 「地域包括ケアシステム」の実現が来年に迫る今、 「ときどき入院、ほぼ在宅」という地域医療を実現するためには、施設在宅の在り方は必要不可欠である。私自身、薬局経営者として、2006年から、施設入居者の薬物治療管理に取り組みながら、医師としても、2008年から、当時急速に増えつつあった介護付き有料老人ホームへの訪問診療を行ってきた。当初は、訪問した医師から発行された処方箋を応需し、薬局内で調剤した薬剤を施設までお届けすることの正確性や迅速性を追求してきたが、その後、薬剤師によるバイタルサインの活用に基づく薬学的アセスメントを的確に医師に返すためには、訪問診療への同行へ取組んできた。そして、現在では、医師の訪問診療に同行するだけでなく、その間に薬剤師による単独訪問を行い、そこでのアセスメント結果を適時、的確に医師にフィードバックすることを標準的なスタイルとして構築してきた。
医師が処方し、薬剤師が調剤するという形式的な「医薬分業」から、医師と薬剤師がともに専門性を発揮しながら、協働して薬物治療の最適化を目指す「医薬協業」スタイルへの変革は、これからの地域医療では必須と考えている。
しかし、これを実現するためには、薬剤師がいわゆる「対人業務」に取り組むための「時間・気力・体力」を確保することや、採算性を確保しビジネスとして永続的に取り組めるようにすること、さらには、このような在宅業務を外来調剤やセルフメディケーションと合わせてどのよう自社の強みとして育て、スタッフを採用し、教育し、定着させていくのかということが求められる。本講演では、医師、薬局経営者の観点から、これらのポイントについてお示しし、ご一緒に考えるきっかけをご提供出来れば幸いである。