[1P-52*] aHUSに関連する補体抑制因子CFHと診断薬取得に向けた特異的抗体の機能解析
aHUSは溶血、血小板減少、腎障害を三主徴とする難病であり、代表的な原因因子の1つである補体制御因子CFHの機能異常として変異と自己抗体が報告されている。変異及び自己抗体認識部位はC末端に集中し、自己抗体は非還元・還元CFH間で認識能が異なる抗体の存在が示唆されているが、病態との関連性は不明である。本研究では非還元・還元CFHを識別可能な診断薬を指向した抗体の取得を目標に、CFHの物性解析並びに取得したFab、VHH抗体とCFHの相互作用解析を行った。MDシミュレーションよりCFHのC末端18-20ドメインにある6つのジスルフィド結合が分子状態へ与える影響を解析した。19ドメインのジスルフィド結合の構造的影響が最も大きい可能性が示唆されたが、対応するCys変異体は組換え体として得ることが出来なかった。この結果を踏まえ、各種抗体について、SPRやITCを用い非還元状態並びに還元状態にあるCFH、調製可能であったCys変異体との相互作用を解析した。また、変性状態のCFHとの相互作用解析については、Western blotting(WB)を行った。FabR1はWBで非還元・還元双方のCFHを強く認識したのに対し、SPRやITCでは18ドメインのCysに変異導入した変異体は認識出来なかった。VHH4はWBから還元CFHよりも非還元CFHにより強く結合し、ヒツジ赤血球を用いた溶血評価よりCFH阻害能を持つことが示唆された。以上の結果より、取得抗体が、抗原の構造柔軟性の変化に対し各々異なる結合応答性を示すこと、異なるCFH認識機構を持つことが示唆された。