第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[1P-1] ポスター1(1P-01ー1P-48)

2021年6月16日(水) 14:45 〜 16:45 ポスター会場1

[1P-04*] 触媒ループのswitchingによるリンゴ酸デヒドロゲナーゼの基質認識への寄与

下澤 勇弥1,2, 西矢 芳昭1, 佐々本 康平1,2, 氷見山 幹基2, 中村 努2 (1.摂南大院 理工 生命, 2.国立研究開発法人産業技術総合研究所)

【背景】Malate dehydrogenase (MDH)は、NAD(P)H依存的にオキサロ酢酸 (OAA)からL-リンゴ酸への可逆反応を触媒する酸化還元酵素である。MDHの活性部位は、基質結合によりopenからclosedへ構造変化するmobile loopと触媒残基を有するcatalytic loopが存在する。MDHのホモログとしてLactate dehydrogenase (LDH)が知られている。両酵素は、構造変化などの類似した構造的特徴を有する。一方で、MDHは優れた基質特異性を有するのに対し、LDHは基質類似体に対しても反応性を示す。本研究では、Geobacillus stearothermohilus由来のMDH (gs-MDH)の結合リガンドとループコンフォメーションが異なる4種の結晶構造を決定し、LDHとの構造比較を行った。【結果・考察】gs-MDHの結晶構造において、活性部位に基質と補酵素が結合したopenとclosedの構造を比較した結果、catalytic loopのswitchingが観察された。これはswitchingがmobile loopの構造変化により誘導されることを示唆している。一方で、LDHのcatalytic loopは、mobile loopのコンフォメーションに関わらずgs-MDHのclosedと同様の配向を示しており、触媒反応にmobile loopの構造変化を必要としないことが示唆された。