第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[1P-1] ポスター1(1P-01ー1P-48)

2021年6月16日(水) 14:45 〜 16:45 ポスター会場1

[1P-13*] 放線菌Streptomyce sp.590由来L-メチオニン脱炭酸酵素Y421F変異体のX線結晶構造解析

井上 朝晶1, 橋本 沙樹1, 大川 敦司2, 田村 隆2, 稲垣 賢二2, 原田 繁春1, 志波 智生1 (1.京工繊大・院・応生, 2.岡山大・院・環境生命)

L-メチオニン脱炭酸酵素MetDCは、ピリドキサール5’-リン酸 (PLP) を補酵素として、L-メチオニン (L-Met) の脱炭酸反応を触媒する。最近我々の研究室でMetDCの結晶構造を決定したが、MetDCがどのように基質L-Metを認識しているかについての詳細は明らかになっていない。本研究では、活性部位付近に存在する421位のチロシン残基に注目して、酵素反応での役割を明らかにするために、Y421F変異酵素を用いて生化学的な解析とX線結晶構造解析を行った。
本研究では、Y421F変異MetDCについて、活性部位にL-MetおよびL-Methionine methyl ester(MME)が結合した構造をそれぞれ1.9Åの分解能で決定した。これにより、Y421F変異MetDCの基質結合に伴う触媒ループの構造変化がみられた。L-Metとの複合体は活性部位が開いたOpenのコンフォメーションをとっていたのに対し、MMEとの複合体は活性部位が閉じたClosedのコンフォメーションをとっていた。また、L-Metとの複合体では、補酵素がPLPからピリドキサミン-5-リン酸(PMP)に変化していた。また、Y421F変異MetDCの活性測定および吸収スペクトル解析より、Y421F変異MetDCでは、3-メチルチオプロピオンアルデヒドの生成がみられ、補酵素がPLPからPMPに変化している可能性が示唆されているが、このことは構造解析の結果と一致している。