第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[1P-2] ポスター1(1P-49ー1P-87)

2021年6月16日(水) 14:45 〜 16:45 ポスター会場2

[1P-80] 大腸菌由来再構成型無細胞タンパク質合成系(PUREfrex)を用いたbicistronicな鋳型DNAからのタンパク質合成

金森 崇, 布施(村上) 朋重 (ジーンフロンティア(株))

PUREfrexは、大腸菌でタンパク質合成に関与する因子だけから再構成した無細胞タンパク質合成系であり、反応液の改良により、最大で1 mg/mLの合成産物を得ることが可能になった。我々は、反応液の改良だけでなく、鋳型DNAの構造が合成に与える影響についても検討している。例えば、開始コドン直後のコドンは使用頻度ではなく、AT含量が高いコドンを使用した場合に合成量が高くなること、5'UTRでは、リボソーム結合配列だけでなくAT-rich領域も重要であり、AT-rich領域を除去すると合成量が1/10程度に減少することなどを報告している。本発表では、上記の結果を踏まえ、2つの遺伝子が1本の鋳型DNA上に存在するbicistronicな鋳型DNAからの合成結果について報告する。蛍光タンパク質mCherryのORFの下流に、AT-rich領域、リボソーム結合配列、及びGFPのORFを繋いだ鋳型DNAを作製し、各合成産物の蛍光量を測定した。その結果、別々の鋳型DNAから合成した場合と比べ、mCherryの蛍光量が増加し、GFPの蛍光量が低下した。また、GFPの5'UTRのリボソーム結合配列を除去したDNAからはGFPはほとんど合成されなかったが、AT-rich領域を除去しても合成量はほとんど変わらなかった。この結果から、bicistronicな鋳型DNAの下流側のORFの5'UTRにはリボソーム結合配列だけが必要であることが明らかになった。