[2P-66*] VHH抗体の構造特徴を利用したβ-hairpin型ペプチド設計手法の探索
抗体分子は、抗原認識部位であるCDR(Complementarity-Determining Region)を用いて、抗原に対して高い親和性・選択性を示すことが知られている。そこで本研究では、このCDRに着目し、その配列・構造を模倣することで、抗体の結合特性を保持したペプチドの設計を目指している。設計元の抗体種として、ラクダ科由来のシングルドメイン抗体であるVHH抗体を選択した。この抗体は他抗体種と比較してCDR(H)3の抗原認識への寄与が大きく、CDR3の長さ及び構造多様性も大きいことが知られている。そのため、VHH抗体のCDR3に着目してペプチドを設計することにより、高親和性の実現が容易になる可能性が考えられた。
始めに既存の抗体-抗原共結晶構造を参考にし、VHH抗体のCDR3がβ-hairpin構造を形成しながら抗原に結合しているものを三種類選別した。これらのモデルに対して、CDR3配列をもとに、直鎖ペプチドおよびβ-hairpin構造形成を誘起するD-Pro-L-Pro骨格を導入した環状ペプチドを合成した。CD測定による構造解析の結果、これらの環状ペプチドが直鎖ペプチドと比較して構造が剛直化され、β-sheet構造をより多く含むことが示唆された。加えて、SPRによる親和性解析の結果、環状化によって親和性が変化したが、興味深いことにこれらの親和性変化にはサンプルごとに異なる傾向が見られた。さらにVHH抗体において、FR2がCDR3と分子内相互作用を持つことを踏まえて、この2領域を併せ持つペプチドの設計を行っており、この研究結果についても発表を行う。
始めに既存の抗体-抗原共結晶構造を参考にし、VHH抗体のCDR3がβ-hairpin構造を形成しながら抗原に結合しているものを三種類選別した。これらのモデルに対して、CDR3配列をもとに、直鎖ペプチドおよびβ-hairpin構造形成を誘起するD-Pro-L-Pro骨格を導入した環状ペプチドを合成した。CD測定による構造解析の結果、これらの環状ペプチドが直鎖ペプチドと比較して構造が剛直化され、β-sheet構造をより多く含むことが示唆された。加えて、SPRによる親和性解析の結果、環状化によって親和性が変化したが、興味深いことにこれらの親和性変化にはサンプルごとに異なる傾向が見られた。さらにVHH抗体において、FR2がCDR3と分子内相互作用を持つことを踏まえて、この2領域を併せ持つペプチドの設計を行っており、この研究結果についても発表を行う。