第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスター賞フラッシュトーク

[2FT-2] プロテオーム・蛋白質工学 (2P-62~2P-87)

2021年6月17日(木) 14:00 〜 14:30 チャンネル2

座長:本田 真也(産業技術総合研究所)、長門石 曉(東京大学)

[2P-73*] CD19に対する環状一本鎖抗体の作製と評価

楊 一帆1, 岡崎 匡2, 大水 良太1, 山内 聡一郎1, 劉 宸江1, 佐藤 卓史1, 小橋川 敬博1, 森岡 弘志1 (1.熊大院・薬, 2.熊大・薬)

CD19は、B細胞表面マーカーとして、前駆B細胞、ナイーブB細胞、メモリーB細胞などにおいて、普遍的に発現される抗原である。B細胞リンパ腫 (DLBCL) やB細胞性急性リンパ芽球性白血病 (B-ALL) においても発現しており、これらの疾患に対する重要な治療標的分子である。実際、CD19に対するモノクローナル抗体 B43は、DLBCLやB-ALLに対して有効性を示すことが明らかにされている。本研究では、B43由来の環状一本鎖抗体 (B43-環状scFv)の大腸菌発現系を構築し、物性評価を行った。 環状scFvは2組のSS結合を有する。そこで、SS結合を有するタンパク質の発現用に改変された大腸菌株 SHuffle T7を用いて発現を行った。その際、SHuffle T7に対してさらなる改変を行うことで、培地1Lから数mgのB43-環状scFvが得られた。次に、示差走査蛍光測定を用いた熱変性実験を行ったところ、協同的な熱転移が確認され、安定な立体構造の形成が確認された。B43-環状scFvのリンカー領域には遊離チオール基が一つある。そこで、この部位に対して、マレイミド基を持つ蛍光色素を付加した。この抗体について、CD19陽性細胞NALM-6を用いたフローサイトメトリーにより抗原との結合を確認した。現在、計算科学的手法基づき、B43-環状scFvの安定性を高める変異体の作製を試みている。その結果についても本会において議論する予定である。