第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[2P-1] ポスター2(2P-01ー2P-37)

2021年6月17日(木) 14:45 〜 16:45 ポスター会場1

[2P-03] 赤血球の直接サンプリングによるヘモグロビンの一細胞ネイティブ質量分析

坂本 和香, 畔上 奈々子, 小沼 剛, 明石 知子 (横市大・院・生命医科)

ネイティブMSは、生体分子をネイティブの状態で観測する質量分析である。最もソフトなイオン化法であるナノESI(エレクトロスプレーイオン化法)を用いることで、非共有結合を保った状態でタンパク質のm/zを測定することが可能である。一般に、目的タンパク質を物理化学的手法で特性解析する場合は、多段階の精製を行う。しかし、精製過程の間にタンパク質の状態が変化、場合によっては変性して回収できなくなる恐れがある。ネイティブMSにより細胞内の環境にあるタンパク質をそのまま観測できれば、生体内で機能している状態のタンパク質の構造情報が得られると期待される。所属している研究室では、既に、大腸菌に発現させた組換えタンパク質を、精製を行わず、質量分析で解析する手法が確立されている。さらに直接的に生体内の環境下にあるタンパク質を観測するために、これを発展させ、細胞ごとの質量分析を行いたいと考えた。現在までに、低分子化合物を対象に細胞から直接サンプリングする一細胞質量分析が報告されているが、高感度で分析するために、酸や有機溶媒を添加して変性条件で観測している。これを工夫して一細胞ネイティブ質量分析の手法を確立することを目指した。その第一段階として、ヒト赤血球をモデルとして実験を行った。赤血球をサンプリングし、ナノESI-MSでそのまま測定することで、1個の赤血球からヘモグロビンを観測できた。