第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[2P-1] ポスター2(2P-01ー2P-37)

2021年6月17日(木) 14:45 〜 16:45 ポスター会場1

[2P-04] 分子内ジスルフィド結合による電位依存性K+チャネルの膜電位依存的構造変化機構の解明

石川 貴大1, 原田 彩佳1, 横川 真梨子1, 前田 知輝1, 日向寺 孝禎1, 藤田 浩平1, 野崎 智裕2, 嶋田 一夫2, 大澤 匡範1 (1.慶應大・薬, 2.東大・院薬)

電位依存性K+チャネル(Kv)は神経伝達や心臓の拍動の源となる活動電位を担う。Kvの膜貫通領域は、膜電位を感受する電位センサードメイン(VSD)とK+透過路を形成するポアドメイン(PD)からなり、VSDの膜電位依存的構造変化によりPDのゲート開閉が誘起される。現在、膜電位非存在下の開状態のKvの立体構造は報告されているが、静止膜電位下の閉状態の構造は不明であり、Kvの膜電位依存的開閉機構は未解明である。そこで本研究では、VSDのヘリックスS1とS4にCys残基を1個ずつ導入し、これらの近接時に形成される分子内ジスルフィド(SS)結合を検出するSS-locking解析によりVSDの構造変化に伴う近接残基対の同定し、SS結合で安定化した機能構造の解析によるKvの膜電位依存的な構造変化機構の解明を目的とした。本研究では古細菌Aeropyrum pernix由来のKvであるKvAPを解析対象とした。近年報告されたKvAPの立体構造を基に、S1は開状態でS4と近接するIle130を中心とした連続する5残基のいずれかを、S4は側鎖をS1側に向けた5残基のいずれかをCys残基に置換し、25種類のdouble Cys変異体を調製した。SS-locking解析の結果、S1とS4間の複数の近接残基対を同定した。これらの残基対は、単一の立体構造で同時に近接しえないため、それぞれのSS結合によりKvAPの異なるコンホメーションが安定化されたことが示唆された。各変異体構造はKvAPの開状態と閉状態の間の構造変化過程を反映している可能性がある。今後、各変異体の機能解析と立体構造解析を進めていく。