第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[2P-1] ポスター2(2P-01ー2P-37)

2021年6月17日(木) 14:45 〜 16:45 ポスター会場1

[2P-08] 酵母を用いた高発現化GPCR変異体のスクリーニング手法の検討

岡部 勇輝1, 中嶋 萌生1, 永野 真吾2, 日野 智也2 (1.鳥取大・院持続性社会・化学バイオ, 2.鳥取大・院工・化学生物)

 Gタンパク質共役受容体 (GPCR) を対象とした副作用の少ない薬剤を効率的に開発するためには、GPCRの立体構造を解明することが有効である。しかしヒト由来の野生型GPCRは熱安定性が低く、立体構造解析に必要な試料の調製が困難である。そこで我々はランダムに変異を導入したGPCR遺伝子ライブラリーを酵母に導入し、細胞膜に高発現するGPCR変異体のスクリーニング手法を開発してきた。これまでにαヘリックスを形成する人工ペプチドALFA-tagとこれに高い親和性で結合する単鎖抗体NbALFAとの組み合わせ (以下ALFAシステムと呼称する。) を用いて、NbALFAを細胞外に露出すると予想されるGPCRのN末端に付加し、蛍光ラベルしたALFA-tagを添加し高発現化GPCRを蛍光標識する方法を確立した。今回、我々は同様の蛍光標識法をさらに2種類検討し、ALFAシステムとの比較を行った。1つ目はペプチドE3 (EIAALEK)3とK4 (KIAALKE)4が形成する相互作用、2つ目はHaloTagとそのリガンドが形成する共有結合を用いた方法である。ALFAシステムと同様にE3とHaloTagをそれぞれアデノシンA2a受容体のN末端に付加し、蛍光ラベルしたK4とHaloTagリガンドをそれぞれ後から添加して蛍光標識した。それぞれのタグ付加体の発現については、前者はALFAシステムの半分程度、後者はALFAシステムと同程度であった。またそれぞれのタグを付加したA2a受容体発現細胞を蛍光標識し、その蛍光強度を分析した結果、後者の方が細胞の蛍光標識率が高かった。年会ではこれら分析の詳細を報告する。