第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[2P-1] ポスター2(2P-01ー2P-37)

2021年6月17日(木) 14:45 〜 16:45 ポスター会場1

[2P-29] GENESISとCHARMM-GUIを用いたリガンド結合自由エネルギー計算

尾嶋 拓1, 李 秀栄2, 杉田 有治1,3,4 (1.理研BDR, 2.医薬基盤研, 3.理研R-CCS, 4.理研CPR)

タンパク質とリガンドの結合自由エネルギーの予測は計算化学の中心的な課題の一つであり、創薬への応用が長年期待されている。その中でも自由エネルギー摂動法(Free-Energy Perturbation: FEP)は結合自由エネルギーを高精度に予測できることが知られている。我々は分子動力学(Molecular Dynamics: MD)シミュレーションソフトウェア「GENESIS」にFEP法を実装し、様々な系でのリガンド結合問題に応用してきた。FEP法を用いることで高精度予測可能だが、計算前の準備(複合体構造の構築、リガンドの力場パラメータの設定、MDシミュレーションソフトウェアへの入力ファイルの作成等)がシステム毎に必要となる。これらの準備は複雑で煩雑なため、時間もかかり、実用化の大きな妨げとなっていた。我々は、Lehigh大学のIm教授らが開発している入力支援ウェブプラットフォーム「CHARMM-GUI」と連携することで、FEP計算のセットアップを自動化した。CHARMM-GUIのFree Energy Calculatorは、リガンドの結合自由エネルギーの絶対値および相対値の計算に必要な力場ファイル、構造ファイル、GENESIS用入力ファイルと解析用スクリプトを自動的に生成してくれる。ここでは、CHARMM-GUIを用いたセットアップの流れとGENESISで計算した自由エネルギー計算の結果を報告する。