[2P-31] PPI-ColDock法を用いた蛋白質‐蛋白質複合体形成
蛋白質は他の分子との相互作用を介し、その分子機能を発現する。そのため、蛋白質やリガンドが形成する複合体構造および分子間相互作用を知ることは、蛋白質の機能を理解する上での重要な鍵となる。我々は、約100 mMの高濃度リガンド条件における全原子モデルの分子動力学(MD)シミュレーションを行うことにより、効率的に蛋白質-リガンド複合体の構造を予測する手法であるConcentrated ligand Docking method (ColDock法) を開発した。ColDock法では、対象蛋白質周辺にリガンドを多数配置し、反発力を導入することによるリガンドの凝集を防いだ上で、リガンドの初期配置が異なる独立なMD計算を複数実行する。単純な方法ではあるが、複数の蛋白質-リガンド複合体に関して、自発的な複合体形成に成功している。上述したColDock法に変更を加え、蛋白質-蛋白質複合体への適用を行った(PPI-ColDock法)。リガンドほど高濃度にすることは難しいので、複合体を形成するそれぞれの蛋白質を複数(約20 mM)配置することにより、複合体形成確率の上昇を試みた。また、同種の蛋白質の凝集を防ぐため、各残基に反発力を導入した。以上の変更を加えて計算した結果、複数の対象に対して自発的な複合体形成を確認した。対象とする複合体により、複合体形成にかかる時間や結晶構造との類似性などが異なるため、最適な条件の検討を行っている。