第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-1] ポスター3(3P-01ー3P-47)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場1

[3P-09] クライオ電子顕微鏡を用いたシトクロム酸化酵素とシトクロムcの複合体構造解析

島田 敦広1, 香西 大輔2, 西川 幸希3,4, 藤吉 好則3,4, 谷 一寿5 (1.岐大・応用生物・応用生命, 2.名大・細胞生理学研究センター, 3.東京医科歯科大・高等研, 4.(株)CeSPIA, 5.三重大・院医)

シトクロム酸化酵素(CcO)はミトコンドリア内膜に存在する呼吸鎖の末端酵素である。本酵素は酸素還元反応と共役してプロトンを内膜外へとポンプすることで、ATP合成に利用されるプロトン駆動力を生み出しており、その反応機構解明は生体エネルギー論分野における最重要課題である。これまで、CcOに結合した酸素へシトクロムc(Cc)から1電子が供給される度に1当量のプロトンがポンプされることが分かっている。そのため、CcからCcOへの電子伝達機構を解明することで、酸素還元反応とプロトンポンプの共役機構を理解するのに必要な情報が得られると考えられる。先行研究において、Cc-CcO複合体のX線結晶構造が報告されているが、その複合体構造は氷晶防止剤やクリスタルパッキングの影響がシミュレーションから指摘されている。そこで、本研究ではクライオ電子顕微鏡を用いて、氷晶防止剤やクリスタルパッキングの影響の無いCc-CcO複合体構造を、pH 6.8および pH 8.0で決定した。その結果、いずれのpHでもCcのCcOに対する結合位置は結晶構造と非常によく似ていることがわかった。しかし、CcからCcOへの電子伝達経路については、結晶構造に比べて短くなっていた。さらに、複合体形成に関わらないアミノ酸残基間の距離が、結晶構造に比べてクライオ電子顕微鏡で決定した構造では長くなっていることが明らかとなった。以上の結果から、CcからCcOへの電子伝達機構について考察する。