第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-1] ポスター3(3P-01ー3P-47)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場1

[3P-12] 膜タンパク質の構造解析・機能解析のためのアフィニティ精製システムの構築

小笠原 諭, 稲村 光亮, 陳 思思, 中川 史, 安田 賢司, 村田 武士 (千葉大・院・理)

【背景・目的】 膜タンパク質は、シグナル伝達、物質輸送、生体エネルギー産生・変換などの細胞機能において基幹的な役割を果たし、創薬標的としても非常に重要である。精製タンパク質は構造解析や化合物スクリーニングにおいて必要であるが、近年、膜タンパク質のフォーマットとしてナノディスクの有用性が高まっている。本研究ではモノクローナル抗体を用いたアフィニティ精製により、簡便、かつ高純度な膜タンパク質精製システム構築を試みた。
【方法】 当研究室で樹立した高親和性の抗 His-tag モノクローナル抗体 (iHis8) について性質決定を行った。さらに iHis8 固相化レジンを作製し、HEK細胞を用いて発現させたヒト由来アデノシンA2a受容体についてアフィニティ精製の検討を行った。
【結果】 iHis8 の親和性は発現タンパク質への His-tag 付加位置、およびヒスチジン数によって異なっていた。iHis8 固相化レジンによるアフィニティ精製を行い、界面活性剤中での精製、およびレジン上でのナノディスク作製に成功した。精製膜タンパク質はいずれのフォーマットにおいても立体構造を保持していた。現在、クライオ電子顕微鏡による単粒子解析も行っている。
【まとめ】 我々が樹立した iHis8 の性質決定を行った。iHis8 の性質を基に抗体アフィニティ精製系を構築し、界面活性剤中での精製、およびナノディスク作製にも応用できた。この膜タンパク質精製システムは構造・機能解析において非常に有用である。