第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-1] ポスター3(3P-01ー3P-47)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場1

[3P-19] 理研SPring-8におけるハイスループットリガンドスクリーニングパイプラインの開発

坂井 直樹, 竹下 浩平, 松浦 滉明, 平田 邦生, 山本 雅貴 (理研・放射光科学研究センター)

理研放射光科学研究センターではSPring-8生物系ビームラインを用いた構造生物学研究の推進のために測定技術開発を実施してきた。測定およびデータ処理の自動化に伴い、大量の結晶から短期間に回折データを取得して構造解析を行うことが可能となった。これにより標的蛋白質の結晶を用いたリガンドスクリーニングのような、短期間に数百から数千という大量の構造解析を行う研究が現実になりつつある。このような研究を実施するためには試料調製からデータ収集、構造解析までを一貫して効率よく実施する必要がある。そのため我々はSPring-8ビームラインとの組み合わせによるハイスループットリガンドスクリーニングパイプラインの開発を行っている。このパイプラインでは各種組換え発現系(大腸菌、昆虫細胞、哺乳細胞)による蛋白質生産、精製試料の熱安定性評価や特定のリガンドとの結合の評価、自動結晶化装置群を用いた結晶作成を行う。さらに、得られた大量の結晶に数百種類のフラグメントを導入するためにアコースティック分注装置を用いたリガンドソーキングが実施される。こうして調製されたリガンド複合体結晶は自動データ収集システムZOOおよび自動データ処理パイプラインKAMOによりデータ収集、データ処理を行い、開発中の自動構造解析パイプラインNABEにより自動的にリガンド結合部位の電子密度が解析される。パイプラインは近い将来、SPring-8ユーザーが利用可能な形にする計画である。