第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-1] ポスター3(3P-01ー3P-47)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場1

[3P-25] LNX3 PDZドメインによるCLDN16のC末端の分子認識機構

成田 一仁1, 沼本 修孝2, 天野 剛志1,3, 伊藤 暢敏2, 廣明 秀一1,3 (1.名大・創薬, 2.東京医歯大・難治研, 3.合同会社BeCellBar)

遺伝性低マグネシウム血症 (HOMG) の原因遺伝子としてCLDN16 (HOMG3)およびCLDN19 (HOMG5)が知られている。これらの遺伝子変異により遠位尿細管 (ヘンレ管)でのマグネシウム再取り込みの不全が起こり、低マグネシウム血症となる。岐阜薬科大学の五十里らは、CLDN16のエンドサイトーシスがLNX3 (PDZRN3) が支配するユビキチン化により促進されることを示し、LNX3阻害剤が低マグネシウム血症の治療・予防に使える可能性を提案している。LNX3は、一般的な上皮細胞に発現している他のCLDNのエンドサイトーシスを司るユビキチン化E3酵素であるLNX1と類似のE3である。LNX3は、N末端のRINGドメインに続き二つのPDZドメインを有し、そのいずれかがCLDN16と相互作用をすると考えられている。今回、我々は、試験管内相互作用実験により、LNX3の1番目のPDZドメイン(LNX3(PDZ1))とCLDN16 C末端の有意な相互作用を確認した。更に、LNX3(PDZ1)のC末端側にCLDN16のC末端ペプチドを融合したキメラPDZドメインを設計し、結晶構造解析を行った。現在、3.6Åでの複合体構造の精密化が進行しており、更なる高分解能化に向けて、条件の検討を進めている。また、得られた構造を利用した、LNX3(PDZ1)の非ペプチド性阻害剤のインシリコ探索についても報告する予定である。