第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-1] ポスター3(3P-01ー3P-47)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場1

[3P-26] 溶液NMRによる膜コンタクトサイトの形成と機能に関与するVAP-A:FFAT-likeモチーフ相互作用の研究

古板 恭子1, 平岡 万里菜2, 花田 賢太郎3, 藤原 敏道1, 児嶋 長次郎1,3 (1.阪大・蛋白研, 2.横浜国大院・理工, 3.感染研)

真核細胞において、小胞体は他のオルガネラ膜や細胞膜と互いに近接した領域、膜コンタクトサイト(MCS)を形成している。小胞体膜貫通タンパク質VAMP-Associated Protein (VAP)は、MCSにおけるタンパク質間相互作用によりMCSを形成させるとともに様々な細胞機能に関与している。VAPのN末端側にあるMajor Sperm Protein (MSP)ドメインはFFAT-likeモチーフと呼ばれる多様なアミノ酸配列群を結合する。FFAT-likeモチーフは全タンパク質の1%以上に含まれると考えられており、この相互作用は神経伝達やオートファジーなどの細胞機能に関わり、筋萎縮性側索硬化症やパーキンソン病と関連することが指摘されている。しかし、VAPがどのようにFFAT-likeモチーフを認識しているのかはよく分かっていない。本研究では、VAP-A MSPドメインと8種の異なるFFAT-likeモチーフを含むペプチドとの相互作用を溶液NMRにより解析した。その結果、8種中6種がVAP-A MSPドメインの同じ領域に特異的に結合すること、結合にはFFAT-likeモチーフ中のフェニルアラニン及びアラニン残基が重要であることが分かった。さらにこの知見をもとにSARS-CoV-2のRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)がFFAT-likeモチーフを有すること、実際にVAP-A MSPドメインに結合することを発見した。