第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-1] ポスター3(3P-01ー3P-47)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場1

[3P-40] Drug Target eXcavator: 新規ヒト創薬ターゲット探索ツールの開発

土方 敦司, 塩生 真史, 白井 剛 (長浜バイオ大・バイオサイエンス)

創薬研究において、薬のターゲットとなる分子をいかに見つけ出すかが大きな課題の一つとなっている。この問題に対処するためには、治療薬とそのターゲットとなるタンパク質分子、疾患関連タンパク質およびその疾患の間の関係性をネットワークとして捉えて理解することが重要である。そこで我々は、まず、既知の治療薬、ターゲットタンパク質、疾患関連タンパク質および疾患の各情報を統合化したデータベースを作成した。次に、治療薬、疾患、タンパク質、代謝物をノードとし、それぞれの関係性(治療薬―ターゲット、タンパク質間相互作用など)をエッジとしたグラフデータを構築した。この関連性グラフを解析可能なツール(Drug Target eXcavator, DTX)を開発し、インターネット上で公開した(https://harrier.nagahama-i-bio.ac.jp/dtx/)。DTXを用いた解析を行ったところ、9,036の治療薬―疾患ペアについて、2つのノードをつなぐ最短パスは、13種類のパターンに分類できることがわかった。また、この最短パスに含まれるノードとエッジの特徴量を用いた機械学習により、真の治療薬―疾患ペアをつなぐ最短パスとそうでないペアの最短パスを高い精度で区別できることがわかった。このことは、前者の最短パスに含まれるタンパク質は新たな創薬ターゲット候補になりうる可能性を示唆する。本発表では、DTXを用いたドラッグリポジショニングへの応用の可能性についても議論する。