[3P-61] Structural changes in cross-seeding of amyloid fibrils between bovine and human insulin
アミロイド線維は、アミロイドーシスや神経変性疾患に関与する針状のタンパク質集合体である。アミロイド線維には構造伝播能があり、線維断片をシードとして反応溶液に添加すると、シードを鋳型とした線維伸長が速やかに進行する。これをシーディング反応と呼ぶが、このときどの程度厳密にシード構造が保存されるのかについての詳細は明らかにされていない。そこで本研究では、ウシとヒト由来の二種類のインスリン線維を用いてセルフシーディングとクロスシーディングを行い、生成するアミロイド線維の構造保存または変化を解析した。
ウシとヒト由来のインスリンは、配列の違いが僅か3残基のみにも関わらず、異なるアミロイド構造を形成した。構造の違いは、ヨウ素染色による呈色反応によって最も明確に識別できたため、これをおもな解析手段として、セルフシーディングあるいはクロスシーディングを行い、線維の構造を解析した。その結果、セルフシーディングではアミロイド構造が強固に複製されるが、異種インスリン間でのクロスシーディングでは、徐々に変化し、場合によっては新種のアミロイド構造が形成することが分かった。構造変化の詳細を特異値分解により解析すると、構造変化の際に、中間状態としていくつかの線維構造を段階的に経由していた。このことから、アミロイド線維形成のエネルギー地形が凹凸に富み、クロスシーディングでは線維構造が別の構造へと転移しやすいことが示唆された。
ウシとヒト由来のインスリンは、配列の違いが僅か3残基のみにも関わらず、異なるアミロイド構造を形成した。構造の違いは、ヨウ素染色による呈色反応によって最も明確に識別できたため、これをおもな解析手段として、セルフシーディングあるいはクロスシーディングを行い、線維の構造を解析した。その結果、セルフシーディングではアミロイド構造が強固に複製されるが、異種インスリン間でのクロスシーディングでは、徐々に変化し、場合によっては新種のアミロイド構造が形成することが分かった。構造変化の詳細を特異値分解により解析すると、構造変化の際に、中間状態としていくつかの線維構造を段階的に経由していた。このことから、アミロイド線維形成のエネルギー地形が凹凸に富み、クロスシーディングでは線維構造が別の構造へと転移しやすいことが示唆された。