第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-2] ポスター3(3P-48ー3P-87)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場2

[3P-86] 機能的分子認識素子の創製に向けたVHH-EGFP間相互作用の特性解析

今中 洋行, 池田 湧, 石田 尚之, 今村 維克 (岡山大院・自然)

本研究では,機能的なタンパク質性人工分子認識素子の創製に向けた,モデルタンパク質間相互作用(PPI)の詳細な特性解析を目的とし,結晶構造が既知のラクダ科動物由来VHH抗体(VHHegfp) - 緑色蛍光タンパク質(EGFP)複合体(PDB: 3K1K,3G9A)に着目した。まず,The Interaction Energy Matrix (IEM) web applicationを援用し,VHH抗体のアミノ酸変異導入候補残基のスクリーニングを行った。そして,各種変異導入VHH抗体を用いた種々の相互作用解析を通して,タンパク質間相互作用の詳細な評価を進めた。その結果,標的分子との相互作用において,3K1Kおよび3G9Aのいずれについても精密に配向した側鎖間静電的相互作用が特に重要であることが強く示唆された。CDR3の短い(8 aa)3K1Kではframe領域の残基を含めた多点相互作用の重要性が示された。一方,CDR3の長い(26 aa)3G9Aでは,結晶構造解析では予測されなかった相互作用の鍵となるアミノ酸残基が新たに同定された。さらに,直接的・間接的な関与を含めた,CDR3の三次構造形成を介したタンパク質複合体形成への寄与がわかった。これらの検討を通じ,タンパク質性分子認識素子における配列可変領域の長さに応じた,複合体形成における相互作用特性の相違について明らかにすることができた。