第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

テクニカルセミナー

[TS3] ライフサイエンスソリューションズ株式会社

2021年6月17日(木) 16:45 〜 17:00 チャンネル1

司会:志波 公平(ライフサイエンスソリューションズ株式会社)

16:45 〜 17:00

[TS3] Mass Photometry法を用いたバイオ製剤開発に係るアプリケーション

志波 公平 (ライフサイエンスソリューションズ株式会社)

 近年の蛋白質科学分野、とりわけ産業分野への応用については目まぐるしい技術革新が起きている。特に治療薬やワクチンなど医薬品分野への応用は著しく、①ワクチンなどの開発のためのリガンドーレセプターとしての基礎研究、②抗体医薬品のように直接医薬品として振る舞う材料、③ウイルスベクターのようなDDSとしての材料、など多岐にわたる。その中において、溶液中における蛋白質の分子量分布を知ることは重要な要素になってくる。分子量分布を知ることで、相互作用の程度(結合の強さ、化学量論、など)を理解することができ、一方で材料としての蛋白質の分散程度を把握することもできる。他方、DDSカプセルの充填率を定量化することもできる。
 これまで、溶液中の蛋白質の分布を知る方法としてはクロマトグラフィーを使用する方法や光散乱法を用いた方法がよく知られてきた。しかしながらクロマトグラフィーは分離媒体を介在するため、媒体の調整が必要となり、光散乱法は分子形状や凝集の存在による定量化が課題とされてきた。
 今回紹介するMass Photometry法(MP法)は、iSCAT法および画像解析法の複合的手法で、超微量の試料で簡便に分子量分布を獲得できる手法として着目されている。本発表では、MP法の原理およびバイオ製剤を中心とした様々なタンパク質の複合体評価方法を紹介する。