第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ワークショップ

[WS1] 分子夾雑の蛋白質科学における新展開

2021年6月16日(水) 18:00 〜 20:30 チャンネル1

オーガナイザー:浜地 格(京都大学)、王子田 彰夫(九州大学)

共催:新学術領域 分子夾雑の生命化学

18:29 〜 18:53

[WS1-02] コバレントドラッグのための創薬蛋白質有機化学

王子田 彰夫 (九大院・薬)

コバレントドラッグは、タンパク質と共有結合を形成することで持続的かつ強力な阻害能を発現するなどの優れた利点を有する。近年では、標的タンパク質特異的な反応性を有するコバレントドラッグであるTCI (targeted covalent inhibitor)の開発が積極的に進められており、これに利用できる反応化学の開拓が盛んである。これまでに我々は、TCIに応用できる新しい反応基としてα-クロロフルオロアセタミド基 (CFA)やビシクロブタン(BCB)などを見出しコバレントドラッグへと応用について検討を行ってきた。CFAやBCBなどの反応基を導入したキナーゼ阻害剤は、標的タンパク質に対して極めて特異的な反応性を示す。本講演では、これらの反応基の細胞などの分子夾雑系における反応特異性の評価を可能とするケミカルプロテオミクスなど、様々なケミカルバイオロジー的なアプローチに基づいた、コバレントドラッグのための創薬蛋白質有機化学の最近の進展について紹介を行う。