第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ワークショップ

[WS10] 細胞内機能を支配するタンパク質分子機能の多様性・特異性・協調性の動的制御機構   ――― 動的・アロステリック制御による細胞生命学理解の深化 ―――

2021年6月18日(金) 09:45 〜 12:15 チャンネル3

オーガナイザー:米澤 康滋(近畿大学)、土屋 裕子(産業技術総合研究所)

10:35 〜 11:00

[WS10-03] 生体分子のゆらぎと表現型のバラツキ

白木 琢磨 (近大・生物理工)

DNA配列こそが生命の設計図であるというセントラルドグマに従った生命像では、分子ネットワークという巧妙な機械仕掛けに従って生命活動は維持されていると考える。分子生物学者はこの機械仕掛け(メカニズム)の解明が楽しくて仕方がない。しかし生物はバラツク。むしろバラツクことこそが生命活動の本質かのように振る舞うため、真のメカニズムに本当にたどり着けるのか不安になるほどである。本発表では、バラツキの由来について議論したい。DNA配列はDNA分子がゆらいでも不変であるのに対し、蛋白質立体構造のゆらぎに起因する状態遷移が確率論的に起こることを考えると、活性のゆらぎが生物の状態の多様性につながる可能性が考えられる。さらにDNA配列そのものに多様性を生み出す仕組み(トランスポゾン)も生物は有している。本発表では蛋白質立体構造のような確率論的な多様性とDNA配列のような決定論的な多様性がいかにして統合され、生命活動を実現しているのか考えてみたい。