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[WS11-02] 非環状型人工核酸を用いた核酸医薬を指向する機能性核酸の設計
近年、アンチセンス核酸やsiRNAなど、RNAに作用し遺伝子の発現を制御する核酸医薬の開発が盛んである。核酸医薬は、標的となるmRNAやmiRNAの塩基配列に対して相補性をもたせればよいという点で、容易に分子設計が可能である。しかし、実際に核酸を医薬品として実用化する際には、生体内の核酸分解酵素に対する耐性能を向上させるため、天然の核酸に対して塩基配列特異的な結合能を有しながらも、天然の核酸とは異なる化学構造をもつ人工核酸の導入が必須である。従来の核酸医薬開発では、天然核酸がもつリボース骨格に化学的改変を加えた人工核酸が多く用いられている。一方で、酵素耐性能の向上や化学合成の簡便性の観点から、リボースとは全く異なる化学構造を有する人工核酸が期待されている。研究室で開発されたオリジナルの非環状型人工核酸serinol nucleic acid(SNA)、L-threoninol nucleic acid (L-aTNA)は、アミノ酸の誘導体を主鎖にもち、配列特異的に天然核酸と結合することが可能であるため、核酸医薬の基盤として高いポテンシャルをもつ人工核酸である。私たちは現在、SNAおよびL-aTNAを活用した核酸医薬の開発を試みており、酵素耐性能の劇的な向上やオフターゲット効果の抑制を実現している。本発表ではこれまでの成果を紹介する。