7:20 PM - 8:00 PM
[WS11-07] Engineering by proxy: Novel strategy for engineering enzymes with synthetic designer proteins
非抗体タンパク質を分子骨格に設計される人工結合タンパク質は、開発期間が長い、生産コストが高い、還元環境下で使用できないといった抗体の実用面における欠点を克服しつつ、その一方で、抗原に対する高い親和性と特異性という抗体ならではの機能を模倣する分子である。人工結合タンパク質はこれまで、抗体と同様に医療分野での応用を主目的として開発されてきた。ところが近年では、医療分野のみならず産業分野への応用も拡がりつつある。本講演では、人工結合タンパク質の産業分野への応用の一端として、我々が開発に取り組む新たな酵素機能改変技術『Enzyme engineering by proxy』を紹介する。当技術は、酵素遺伝子そのものへの変異操作に依存してきた従来のタンパク質工学的アプローチとは根本的に異なり、人工結合タンパク質を酵素の任意の活性中心近傍に結合させることで基質特異性を改変するというものである。このコンセプトと方法論について、これまでに得られているいくつかの成功例[1][2]を提示しながら概説する。さらに、“産業応用に適した人工結合タンパク質”として開発を進める新しい分子骨格についても紹介したい。[1] Tanaka et al. (2015) Nature Chem. Biol. 11, 762-764.[2] Tanaka et al. (2018) ACS Chem. Biol. 13, 1487-1492.