第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ワークショップ

[WS12] 画像処理を工夫してクライオ電顕で構造決定が難しいタンパク質に取り組む!

2021年6月18日(金) 17:30 〜 20:00 チャンネル2

オーガナイザー:守屋 俊夫(高エネルギー加速器研究機構)、横山 武司(東北大学)

17:30 〜 17:55

[WS12-01] さらなる分解能向上のためにクライオ電子顕微鏡画像処理でできること:中上級者向け講習会(OTA club)の活動成果

守屋 俊夫 (高エネ研・物構研・構造生物)

クライオ電子顕微鏡(クライオ電顕)によるタンパク質やその複合体の単粒子解析は分解能革命と呼ばれる時代の中にあり、昨年遂に原子分解能(最高1.15Å)の構造が公表された。この状況下、日本医療研究開発機構(AMED)の創薬等先端支援技術基盤プラットフォーム事業(BINDS)やクライオ電顕ネットワークを通じ、国内でも最新鋭のクライオ電顕装置を導入し、その共同利用施設化が急激に進めらている。その活動の一貫としてユーザーサポートの質をオールジャパンレベルで向上するために、クライオ電顕ネットワークに参加している共同利用施設での実務経験がある若手・中堅のクライオ電顕研究者の有志を中心に定期的な講習会(OTA club)を行っている。会合では、特に画像処理ステップに焦点を当て、(1) 実習形式で様々なクライオ電顕関連のソフトウェアの使い方を学ぶ、(2) 座学形式で画像処理や電子光学の基礎理論を学ぶ、などの活動を行っている。さらに、共同施設間の情報共有を促進するために、(1) 解析計算の詳細ステップと注意しているところ、(2) 分解能がどうしても上がらないなど、現行の解析計算で困っていること、(3) 特殊な場合の創意工夫、などの発表と意見交換を行っている。本発表ではその活動の概要と会合のテーマとして取り上げた、深層学習ベース粒子ピッカーのcrYOLOとTopazo、二次元平均化処理のGPU-ISAC、最適な計算入力パラメータの選び方、等を紹介する。