19:45 〜 20:00
[WS2-08] 初期分泌経路における亜鉛濃度制御が小胞体―ゴルジ体シャペロンERp44の機能をコントロールする
亜鉛は必須微量元素の一つで、細胞内外でセカンドメッセンジャーとしてシグナル伝達を担うのみならず、タンパク質と結合して構造安定化や酵素活性調節に関わる。我々は、小胞体とゴルジ体からなる初期分泌経路のタンパク質品質管理分子機構を解析する中で、ゴルジ体内腔でシャペロンタンパク質ERp44が亜鉛イオンと結合することで構造が変化し、その機能が亢進することを発見した(Watanabe, Amagai, et al., 2019, Nature Commun.)。即ち、ゴルジ体における亜鉛イオンの制御が、ERp44に依存した分泌経路内腔のタンパク質品質管理に重要であることを見出した。本研究では、ゴルジ体内に亜鉛を輸送するZnT亜鉛輸送体ファミリーに着目し、ライブセルイメージング、超解像観察、生化学実験を組み合わせ、ZnTによるゴルジ体亜鉛濃度調節とERp44機能調節機構を解析した。私たちが最近開発した新規亜鉛プローブZnDA-1H(Kowada et al., 2020, Cell Chem. Biol.)を使用し、ZnT発現抑制細胞のゴルジ体亜鉛濃度を測定したところ、ゴルジ体に局在するZnT4, ZnT5/6, ZnT7はそれぞれ異なるゴルジ体層板の亜鉛恒常性維持に関わることが明らかとなった。さらに、ERp44の細胞内機能制御にも各ZnTが異なる役割を持つことが明らかとなった。これらの亜鉛濃度制御を介したERp44の機能制御機構の詳細を紹介する。