18:25 〜 18:45
[WS6-02] アルギニンリッチ配列と相分離制御
多くのRNA結合タンパク質がアルギニンーグリシンの繰り返し配列領域であるRGG/RGリピート領域を持つが、その役割については謎が残されている。液液相分離研究の代表的なタンパク質のRNA結合タンパク質FUSはRGGリピート領域を3つ持ち、全体のおよそ4割を占める。RGGリピート領域は単独では構造を持たない天然変性状態であるが、RNAとの結合能があることに加え、液液相分離においても重要な役割を担うことが明らかとなっている。また、RGGリピートのアルギニン残基は、メチル化修飾を受けることも知られており、液液相分離との関連性についても研究が進められている。我々は新たに、RGGリピートが核内輸送受容体との相互作用においても重要であることを明らかとした。核内輸送受容体は、本来であればRGGリピートではなく核内移行シグナルを認識し、核内輸送や液液相分離の制御を行うが、神経変性疾患のALSでみられるような核内移行シグナル欠失体に対しては、RGG領域との相互作用により核内輸送や液液相分離制御を行うことを明らかとした。本講演では、アルギニン残基に富んだ配列が関与するFUSの液液相分離制御機構を紹介する。