20:05 〜 20:25
[WS6-07] MDシミュレーションと機械学習を組み合わせたペプチド凝集傾向予測
発表者は、分子動力学(MD)シミュレーションを用いて、ペプチドがアミロイド形成する過程を研究しており、MDは精度よくアミロイド・凝集形成過程を再現できることがわかってきた。本研究では、4アミノ酸特定配列ペプチドの凝集形成能だけでなく、4アミノ酸ペプチドがとりうる全配列(204=16万通り)の凝集能を明らかにしたので報告する。
現代の計算機能力の発展は目覚ましいものがあるが、それでも多数ペプチドを含めた系のMDには、かなりの計算機資源が必要となる。しかも、その計算を16万回実施することは不可能である。このような計算の実施時には、アミノ酸を少数の球で表現する粗視化モデルを用い、粒子数を削減し高速化を図ることが多い。しかし、凝集形成過程には、ππスタッキングなど、表現するために詳細な分子構造が必要な相互作用が、重要であることがわかっている。
そこで、粗視化モデルを用いずに、全原子モデルMDと機械学習とを組み合わせることで、MD実施数を削減し、結果として高速化を試みた。具体的には、319配列のMDを実施、計算結果を学習データとする機械学習を行い、16万配列の凝集形成能を予測した。予測結果の妥当性を検証するため、形成能が高かったペプチドを実験で調べたところ、自発的に結晶化するなど高いβ構造形成能を示すことを確認した。またX線結晶解析でその立体構造を解明し、MDで得られた構造と比較すると、非常によく似ていた。最後に、これらの結果から液液相分離のMD研究についての展望を述べる。
現代の計算機能力の発展は目覚ましいものがあるが、それでも多数ペプチドを含めた系のMDには、かなりの計算機資源が必要となる。しかも、その計算を16万回実施することは不可能である。このような計算の実施時には、アミノ酸を少数の球で表現する粗視化モデルを用い、粒子数を削減し高速化を図ることが多い。しかし、凝集形成過程には、ππスタッキングなど、表現するために詳細な分子構造が必要な相互作用が、重要であることがわかっている。
そこで、粗視化モデルを用いずに、全原子モデルMDと機械学習とを組み合わせることで、MD実施数を削減し、結果として高速化を試みた。具体的には、319配列のMDを実施、計算結果を学習データとする機械学習を行い、16万配列の凝集形成能を予測した。予測結果の妥当性を検証するため、形成能が高かったペプチドを実験で調べたところ、自発的に結晶化するなど高いβ構造形成能を示すことを確認した。またX線結晶解析でその立体構造を解明し、MDで得られた構造と比較すると、非常によく似ていた。最後に、これらの結果から液液相分離のMD研究についての展望を述べる。