第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ワークショップ

[WS7] バイオ医薬品と遺伝子治療ウイルスベクターの分析・品質管理と規制科学

2021年6月17日(木) 18:00 〜 20:30 チャンネル3

オーガナイザー:内山 進(大阪大学)、石井 明子(国立医薬品食品衛生研究所)

19:10 〜 19:40

[WS7-04] 遺伝子治療の開発動向と課題

岡田 尚巳 (東大・医科研・分子遺伝医学)

長い間停滞していた遺伝子治療が、近年再び脚光を浴びている。遺伝子発現ベクターや遺伝子導入細胞を利用した遺伝子治療用製品が欧米を中心に開発され、既に様々な製品が国内外で販売承認されている。近年では治療技術やベクターの改良に伴い安全性や有効性が高まり、がんや様々な神経・筋疾患に対する効果が証明されている。遺伝子治療用製品として様々なベクターが研究されているが、終末分化した神経・筋組織を直接標的とする体内法ではアデノ随伴ウイルス、リンパ球や幹細胞を用いる体外法遺伝子治療ではレンチウイルスに由来するベクターを中心に開発が進んでいる。ただし、全身大量投与に伴う有害事象や、挿入変異による白血病の発症も報告されており、さらなる技術革新が求められている。また、ゲノム編集技術の急速な進歩により、新しい概念による治療戦略が提案されている。今後、臨床試験を加速し安全性を高めるため、製造技術の改良や少ないベクター投与量で安全に長期間効果を維持するための工夫が重要である。