サイエンスキャッスル2018

講演情報

関東大会 » ポスター発表②・偶数

[ES205] ポスター発表 偶数

2018年12月24日(月) 13:30 〜 14:00 ポスター/ブースエリア (7F 小体育館)

[P-116] 『我が家の犬』の遺伝子検査に関する研究 ver.2

小長井海翔 (早稲田大学高等学院 3年)

キーワード:遺伝子検査、PCR法、進行性網膜萎縮症

<概要>
ヒトを対象とした遺伝子検査の普及が進む一方で、ペット等の動物を対象とした遺伝子検査は「市場規模が小さい」、「採算が取れない」等の理由から未だに普及・浸透していない。一方で、高齢化に伴い、伴侶動物としてのペットに対する需要が高まっている。これより、生活を共にするペットの健康状態に対する関心が今後大きくなることが予想される。しかしながら、遺伝子検査項目が少ない、高価である等の問題が山積みとなっており中々研究が進んでいないという現状がある。そこで、本研究では、昨年に引き続き、教科書でも扱われるPCR法(ポリメラーゼ連鎖反応法)に着目し、これを改良することで、犬などの身近なペットを対象とした安価で簡易な遺伝子検査法を新しく作出することで、ペットのQOL(生活の質)を向上させることを目的として研究を行っている。昨年度は、高尿酸尿症というSNP(一塩基多型)による遺伝病を標的として実験系の確立を行ったが、今年度は新たに進行性網膜委縮症の原因遺伝子であるPRCD1を標的として実験系の確立を行うと共に、口からのサンプル回収ではなく、毛からのサンプル回収で検査が可能になった。今回その成果報告を行いたい。
<考察・展望>
今回の研究により、SLC2A9遺伝子とPRCD1遺伝子の2種類の遺伝子疾患に関する変異の有無が検出可能になった。また、PCR増幅断片のサイズを変えると一度に複数の遺伝子に関して検査が行えることも明らかとなったため、今後も標的となり得る遺伝子を綿密に調べて候補に入れた上で、検査項目の一つとして実験系に組み込んでいきたいと考えている。更に、毛から抽出したDNAからも検査が可能であることが分かった。しかしながら、今回十分量の毛で確かめたため、今後の汎用性も考えると、最低限の必要量を調べる必要があると考えている。また、検査法に関して、ホモで変異が入っている場合はこの技術から検出が可能であるが、ヘテロで変異が入っている場合の検出をどうするか(制限酵素処理等を行う?)等も含めて今後研究を進めていきたい。