Seismological Society of Japan Fall Meeting

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Cancelled

Room C

General session » S04. Tectonics

[S04]PM-2

Tue. Sep 17, 2019 4:30 PM - 5:00 PM ROOM C (Research Bldg No 8 NS Hall)

chairperson:Naoki Uchida(Graduate School of Science Tohoku University), Hiroshi Sato(Earthquake Research Institute, The University of Tokyo), Atsushi Nozu(Port and Airport Research Institute)

4:30 PM - 4:45 PM

[S04-01] Nankai Trough Seismogenic Zone Experiment: Logging and sampling the seismogenic megathrust during IODP Exp358

*Masataka Kinoshita1, Gaku Kimura2, Takehiro Hirose9, Asuka Yamaguchi3, Kyuichi Kanagawa4, Harold Tobin5, Matt Ikari6, Hiroko Kitajima7, Demian Saffer8, Lena Maeda9, Sean Toczko9, Nobu Eguchi9, IODP Exp358 Science Party (1. earthquake Research Institute, the University of Tokyo, 2. Tokyo University of Marine Science and Technology, 3. AORI, UTokyo, 4. Chiba Univ., 5. Univ. Washington, 6. Univ. Bremen, 7. TAMU, 8. Penn State Univ., 9. JAMSTEC)

「南海トラフ地震発生帯掘削計画」の目標は、巨大地震や津波の発生源とされるプレート境界断層や巨大分岐断層及びその上盤を掘削し、地質試料を採取・分析するとともに、掘削孔を用いた岩石物性・状態の現場計測(検層)及び地殻変動等の観測(モニタリング)を実施することである。それにより,断層の地震性滑りを決定づける物理化学条件等を明らかにし、南海トラフにおける地震・津波発生メカニズムを解明することを目指す。この計画の下、2007 年度から地球深部探査船「ちきゅう」によるIODP 研究航海が実施され、これまでに熊野灘及びその沖合にて15 地点68 孔の掘削を行った。今回実施したIODP 第358 次研究航海では、過去3 回にわたり段階的に海底下3,058.5m まで掘削を進めてきたC0002 地点の掘削孔(水深1,939m)を、さらに深く掘り進めた。C0002 地点は、予想される巨大地震発生帯(プレート境界断層の固着域)のうち、その浅部側の縁にあたる。本航海は2018 年10 月から2019 年3 月まで予定され、海底下5,200m 付近に想定されるプレート境界断層固着域に向かって、同じ掘削孔をさらに2,200m 程度掘り進める予定であった。また、海底下4,000m 以深に存在すると予想されている弾性波速度の高速度層は、巨大地震を引き起こすひずみエネルギーの一部が蓄積されている領域と考えられており、そこの岩石組成や物性・応力状態を直接掘削して明らかにすることも、重要な目的の一つであった。その上で、海底下5,200m 付近に想定されるプレート境界断層の固着域への到達に挑戦し、断層の物性データの取得とコア試料の採取を行うという、世界に類を見ない大水深・大深度での科学掘削の試みであった。C0002 地点は、付加体という褶曲・断層や劈開等の発達する複雑な地質構造場にあり、掘削にはかなりの困難が予想された。国内外の研究者や技術者と議論を重ね、最善と考える掘削アプローチを採用したが、プレート境界断層よりもかなり浅い深度で本地点における掘削を終了した。しかしながら、C0002 孔では不安定な孔内状況に対処しつつ掘削に取り組み、掘削同時検層による地層物性データの取得及びカッティングスの採取を行いながら、科学掘削としては世界最深の掘削深度記録を更新し、海底下3,262.5m まで到達した。また、海洋科学掘削としては世界最深の海底下深度である2,836.5 m から2,848.5 m の区間で計約2.5 m のコア試料を採取した。
今後、これらのデータ及び試料を用いた研究により、巨大地震・津波の発生メカニズムの理解に貢献することが期待される。