日本地震学会2019年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(2日目)

一般セッション » S17. 津波

S17P

2019年9月17日(火) 17:00 〜 18:30 P会場 (時計台国際交流ホールII・III)

17:00 〜 18:30

[S17P-09] 北海道霧多布湿原における13世紀および17世紀頃の海岸地形復元と津波堆積物調査

*伊尾木 圭衣1、澤井 祐紀1、行谷 佑一1、谷川 晃一朗1、松本 弾1、中村 淳路1、嶋田 侑眞1,2 (1. 産業技術総合研究所地質調査総合センター、2. 筑波大学)

千島海溝南部ではM8―9クラスの巨大地震が繰り返し発生している. 北海道東部では, 先史時代に堆積した津波堆積物が報告されており, 最新の巨大津波は17世紀, その一つ前のものは13世紀頃に発生したと考えられている. 本研究では13世紀および17世紀頃に発生した地震の規模の再評価のため, 北海道霧多布湿原において津波堆積物調査を行った. 霧多布湿原の浜中湾と琵琶瀬湾の海岸周辺において, 過去の海岸地形復元のため, 津波堆積物調査を行い, 13世紀および17世紀頃の海岸線の位置を推定した. その結果, 13世紀頃の海岸線は現在より400 m程度, 17世紀頃の海岸線は現在より300 m程度内陸に位置していたと推定された. そして国土地理院による基盤地図情報数値標高モデルを利用して17世紀頃の海岸地形を考慮したDEMを作成し, 津波の浸水計算を行い, 当時の海岸線の位置によって浸水範囲がどのように変化するかを検討した. また霧多布湿原の一番沢奥部において, 津波堆積物の分布限界を明らかにするため, 津波堆積物調査を行い, 13世紀および17世紀頃の津波がどれほど内陸まで到達したかを確認した. その結果, 先行研究より内陸で17世紀頃の津波堆積物が確認された. これよりさらに内陸で13世紀頃の津波堆積物が確認された. よって霧多布湿原一番沢では, 17世紀の津波より13世紀頃の津波の方がより内陸まで到達した可能性がある.