10:45 AM - 11:00 AM
[S22-05] Development of 3D Convolutional Neural Network to locate hypocenter with theoretical seismograms of time series as training data.
我々は、昨年の地震学会秋季大会において、理論地震波形記録を生成し、これを教師データ(ある入力データとその正解となるデータを対応付けたもの)として機械学習を行うことにより、震源パラメータの推定を行うニューラルネットワークを構築する試みについて報告した。前回の発表では、関東地方領域にて、震源や規模の異なる多数のパターンの仮想地震を網羅的に計算し、得られた理論地震波形記録から、ある時刻における地表の空間的な地震波伝播画像を生成して、この画像を用いて深層学習を行い、震源パラメータを自動推定するニューラルネットワークを構築することが出来ることを示した。
我々は、このニューラルネットワークによる震源パラメータ推定精度をさらに高めることを目的とし、学習対象を時系列方向に発展させる試みを行った。例えば、地震波形の広がり方から震源近くの細かな振動など、前回用いた地表の変位分布だけでなく、その映像的な時間発展のパターンも学習の対象とする。このような時間発展パターンを学習するため、我々は、ある時間範囲の理論地震波形記録の地表の変位分布を、図1のような3次元形状データに変換した。このようなデータを、3次元形状データ及び映像における動きの学習に特化した3次元畳込みニューラルネットワーク(3D CNN)を用いて学習を行い、実際の観測データの推定を行うことができる推論モデルを得る。
なお、理論地震波形記録生成については、前回と同様にスペクトル要素法のSPECFEM3D_GLOBE(https://geodynamics.org/cig/software/specfem3d_globe/)を用いているが、今回は対象範囲について関東地方から日本列島規模まで広げ、256コア、1 chunkを用いて計算した。用いた3次元地球モデルはS20RTSで、モデルの精度の設定値であるNEXは256、周期は17秒である。震源深さや位置など震源パラメータを変化させた4,200個の仮想地震に対して約5分間の理論地震波形を計算し、約300万枚の地震波伝播画像を生成した。これを用い、数十秒程度の時間発展パターンを3次元形状データとして生成し、教師データとした。もちろん、この3次元形状データはk-Netなどの実際の地震波形観測データからも同様に自動的に生成が可能であり、自動的な震源パラメータの推定も可能である。
このように生成した教師データを基に、先に述べた3D CNNを用いた深層学習を行った。3層の3D畳込み層を用い、86x86の空間伝搬データを時系列方向に20個用い、各震源パラメータを推定する推論モデルを機械学習により生成した。深層学習フレームワークはTensorFlow (https://github.com/tensorflow)とnnabla(https://github.com/sony/nnabla)を用いた。教師データの生成および機械学習は海洋研究開発機構・地球情報基盤センターが運用する計算クラスタであるDAシステムのGPGPUノードを利用して並列に行い、ニューラルネットワークから推論モデルを構築した。
学習は4,200個の地震の各イベント85:15に分割し、85%である3,570個を学習に用い、学習に使用しない残り15%の630個の地震を用いて交差検証を行ったところ、概ね良好な結果が得られた。最終的に完成した推論モデルの詳しい推定結果、および実際の観測データに適用した場合の推定結果について発表の際に述べる。
謝辞
本研究は科研費19K12011の助成を受けたものです。また、海洋研究開発機構・地球情報基盤センターの計算機システムを用いました。記して感謝いたします。
我々は、このニューラルネットワークによる震源パラメータ推定精度をさらに高めることを目的とし、学習対象を時系列方向に発展させる試みを行った。例えば、地震波形の広がり方から震源近くの細かな振動など、前回用いた地表の変位分布だけでなく、その映像的な時間発展のパターンも学習の対象とする。このような時間発展パターンを学習するため、我々は、ある時間範囲の理論地震波形記録の地表の変位分布を、図1のような3次元形状データに変換した。このようなデータを、3次元形状データ及び映像における動きの学習に特化した3次元畳込みニューラルネットワーク(3D CNN)を用いて学習を行い、実際の観測データの推定を行うことができる推論モデルを得る。
なお、理論地震波形記録生成については、前回と同様にスペクトル要素法のSPECFEM3D_GLOBE(https://geodynamics.org/cig/software/specfem3d_globe/)を用いているが、今回は対象範囲について関東地方から日本列島規模まで広げ、256コア、1 chunkを用いて計算した。用いた3次元地球モデルはS20RTSで、モデルの精度の設定値であるNEXは256、周期は17秒である。震源深さや位置など震源パラメータを変化させた4,200個の仮想地震に対して約5分間の理論地震波形を計算し、約300万枚の地震波伝播画像を生成した。これを用い、数十秒程度の時間発展パターンを3次元形状データとして生成し、教師データとした。もちろん、この3次元形状データはk-Netなどの実際の地震波形観測データからも同様に自動的に生成が可能であり、自動的な震源パラメータの推定も可能である。
このように生成した教師データを基に、先に述べた3D CNNを用いた深層学習を行った。3層の3D畳込み層を用い、86x86の空間伝搬データを時系列方向に20個用い、各震源パラメータを推定する推論モデルを機械学習により生成した。深層学習フレームワークはTensorFlow (https://github.com/tensorflow)とnnabla(https://github.com/sony/nnabla)を用いた。教師データの生成および機械学習は海洋研究開発機構・地球情報基盤センターが運用する計算クラスタであるDAシステムのGPGPUノードを利用して並列に行い、ニューラルネットワークから推論モデルを構築した。
学習は4,200個の地震の各イベント85:15に分割し、85%である3,570個を学習に用い、学習に使用しない残り15%の630個の地震を用いて交差検証を行ったところ、概ね良好な結果が得られた。最終的に完成した推論モデルの詳しい推定結果、および実際の観測データに適用した場合の推定結果について発表の際に述べる。
謝辞
本研究は科研費19K12011の助成を受けたものです。また、海洋研究開発機構・地球情報基盤センターの計算機システムを用いました。記して感謝いたします。