15:30 〜 17:00
[S06P-01] 北海道南東沖・千島海溝周辺での反射法地震探査
1990年代後半以降、日本周辺の沈み込み帯では南海トラフや日本海溝を中心に多くの地殻構造探査とそのデータを用いた研究が進められ、単に地殻構造研究のみならず、掘削科学や津波・地震サイクルシミュレーション等へも重要な役割を果たしてきた。一方、2011年東北地方太平洋沖地震の発生に伴い、日本周辺の地震発生帯に関する評価の再検討が進められ、千島海溝においても地震調査研究推進本部が2017年12月に「千島海溝沿いの地震活動の長期評価(第三版)」を新たに公表した。ただし、地殻構造探査の観点からみると、千島海溝周辺は南海トラフや日本海溝と比べるとデータが少なく、千島海溝周辺の長期評価をより高精度する上では、さらなる多くの観測・研究が必要な海域である。 東北地方太平洋沖地震以降、JAMSTECは2016年と2018年に深海潜水調査船支援母船「よこすか」で千島海溝の海溝底を中心に横切る測線を設定した高解像度反射法地震探査を実施し(中村・他, 2019, JpGU)、2019年には根室沖から釧路沖にかけて深海調査研究船「かいれい」を用いたMCS探査とOBSを用いた地震探査を行った(東・他, 2021, JpGU)。
そして、2020年10月と2021年7月には、釧路沖から日高沖にかけて、新たな調査測線を設定し、海底広域研究船「かいめい」による反射法地震探査を実施した(図)。新型コロナウイルスに関わる対応や調査海域での漁業活動・気象・海象の影響等はあったが、2航海で9測線のデータを取得することができた。これらの測線の一部は、日本海溝と千島海溝の接合部にも位置しており、もし千島海溝から日本海溝への構造変化を抽出できれば、この接合部での地震活動や震源断層と地殻構造の関係についての知見が得られる可能性もある。また、海溝海側に関しても、アウターライズ域での正断層型の大地震に関する震源断層の研究に対して貢献できるデータとなる。
なお、2020年と2021年の「かいめい」によるMCS探査の主なデータ取得仕様は、発震間隔50 m、エアガン総容量最大10600 cu.in.、エアガン曳航深度10 m、受振点間隔12.5 m、ストリーマーケーブル曳航深度12 m、受振チャンネル数最大444である。
本発表では、以上のデータ取得の概要と暫定的なデータ解析結果について報告する。
そして、2020年10月と2021年7月には、釧路沖から日高沖にかけて、新たな調査測線を設定し、海底広域研究船「かいめい」による反射法地震探査を実施した(図)。新型コロナウイルスに関わる対応や調査海域での漁業活動・気象・海象の影響等はあったが、2航海で9測線のデータを取得することができた。これらの測線の一部は、日本海溝と千島海溝の接合部にも位置しており、もし千島海溝から日本海溝への構造変化を抽出できれば、この接合部での地震活動や震源断層と地殻構造の関係についての知見が得られる可能性もある。また、海溝海側に関しても、アウターライズ域での正断層型の大地震に関する震源断層の研究に対して貢献できるデータとなる。
なお、2020年と2021年の「かいめい」によるMCS探査の主なデータ取得仕様は、発震間隔50 m、エアガン総容量最大10600 cu.in.、エアガン曳航深度10 m、受振点間隔12.5 m、ストリーマーケーブル曳航深度12 m、受振チャンネル数最大444である。
本発表では、以上のデータ取得の概要と暫定的なデータ解析結果について報告する。