11:00 〜 11:20
[S23-07] [招待講演] ベイズインバージョンにまつわるいくつかの問題について
ABICを用いたインバージョンは難しいと言われる。解析者の直感に反する過大あるいは過小な超パラメタの値、即ち不適切な解が、ABIC最小の規準によってしばしば選ばれてしまうためである。しかし、そのような解析者の直感に反する解が得られる原因は、不適切なモデル化に起因することが普通である。そのため最近は、"Bad modelling leads to a bad result. A bad result suggests bad modelling." という標語を掲げている。この不適切なモデル化の問題ついて、モデル誤差に起因する共分散 (Yagi & Fukahata, 2008, 2011, GJI) など誤差の取り扱いの重要性については広く認識されてきたと思う。そこで、本講演では、それ以外のベイズインバージョンにまつわるモデル設定の問題について取り上げる。
例えば、解空間の設定は一般に難しい問題である。狭く取ってしまうと適切な解が選べなくなる一方、過大に取ってしまうとモデルの自由度が高くなり過ぎて、これまた適切に解を構成することが難しくなってしまうからである。先験情報は、”主観確率”とも呼ばれるくらいだから、解析者が主観に基づいて自由に選んで構わないという考えがあるようだが、そうではない。先験情報にもやはり適切なものと不適切なものとがあり、不適切な先験情報を用いると、解が歪められるなどといった問題が生じる。基底関数や境界条件の選択も軽視されることが多いが、適切に解を推定するためには見過ごすことができない要因である。こういった内容について、具体的な解析事例も交えて説明する。
例えば、解空間の設定は一般に難しい問題である。狭く取ってしまうと適切な解が選べなくなる一方、過大に取ってしまうとモデルの自由度が高くなり過ぎて、これまた適切に解を構成することが難しくなってしまうからである。先験情報は、”主観確率”とも呼ばれるくらいだから、解析者が主観に基づいて自由に選んで構わないという考えがあるようだが、そうではない。先験情報にもやはり適切なものと不適切なものとがあり、不適切な先験情報を用いると、解が歪められるなどといった問題が生じる。基底関数や境界条件の選択も軽視されることが多いが、適切に解を推定するためには見過ごすことができない要因である。こういった内容について、具体的な解析事例も交えて説明する。