日本地震学会2022年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(2日目)

一般セッション » S07. 地球及び惑星の内部構造と物性

[S07P] PM-P

2022年10月25日(火) 14:00 〜 17:30 P-3会場 (10階(1010〜1070会議室))

14:00 〜 17:30

[S07P-01] 日本列島下のマントル遷移層底部における二重不連続面か?

*久家 慶子1 (1. 京都大学大学院理学研究科地球物理学教室)

マントル遷移層底部を位置づける660km地震波速度不連続面は、マントルを主に構成するオリビン系鉱物の相変化で生じていると考えられている。一方で、深さ660km周辺に複数の地震波速度の不連続面が存在することが、反射波や変換波などを用いた地震波の解析から、マリアナ諸島やトンガ・フィジー諸島などでみつかっている(例えば、Tibi et al., GRL 2007; Zang et al., GRL 2006)。複数の660km地震波速度不連続面の存在は、マントル内のオリビン以外の鉱物による相転移に関係するとも考えられるため、複数の不連続面の有無やその不連続面の特性は、オリビン以外の鉱物の分布や種類、相を含めてマントルの特性を理解する上で重要である。

本研究では、サハリンで発生した深発地震について、日本の地震観測点で取得したデータを用いて、北日本下のマントル遷移層周辺を伝播したP波を調べる。本研究でみるP波は、西方へ沈み込む太平洋プレートから海側(沈み込む方向と反対側)に離れた場所に位置するマントルを伝播している。震央距離約9~13度の観測点の鉛直成分で、地震波速度モデルiasp91から予想される時刻に類似して、660km地震波速度不連続のtriplicationによると思われるP波の後続波がみられる。そして、さらに遠方の観測点で、みかけ速度の大きいP波の後続波が観測される。660km不連続のさらに深くの地震波速度不連続に起因するtriplicationによるものかもしれない。本発表では、この地震波の特性を紹介する。