13:30 〜 16:00
[S22P-04] 17世紀および13世紀頃に千島海溝南部で発生した超巨大地震による波源の違い
歴史記録や地質記録の研究により,千島海溝南部ではM8-9クラスの巨大地震が繰り返し発生してきたことが明らかになっている.北海道東部太平洋沿岸地域では,先史時代に堆積した津波堆積物が報告されており,最新の巨大津波は17世紀,その一つ前のものは13世紀頃に発生したと考えられている(Nanayama et al., 2003等).本研究では17世紀および13世紀頃に発生した地震の規模評価のため,津波堆積物の分布と計算浸水範囲を比較し,繰り返し発生する巨大地震の発生メカニズムの多様性について考察した.
17世紀と13世紀頃の津波堆積物の分布が違うことは,先行研究によって指摘されている.例えば,北海道厚岸郡浜中町霧多布湿原の一番沢奥部においては,17世紀および13世紀頃の津波堆積物の分布範囲が比較・検討されており,Nanayama et al. (2003)等より内陸で17世紀の津波堆積物が確認され,それよりさらに内陸(海岸から約4 km内陸)で13世紀頃の津波堆積物が確認されている(中村ほか,2019).また北海道根室市別当賀フレシマ湿原においても,17世紀の津波堆積物と,さらに内陸で13世紀頃の津波堆積物が報告されている(七山ほか,2004).
以上のような津波堆積物の分布状況を再現するため,津波堆積物の分布範囲と計算した浸水範囲の比較を行った.Satake et al. (2008)やIoki and Tanioka (2016)の先行研究では,17世紀地震の波源は,根室セグメントより十勝セグメントの方がすべり量が大きい特徴を持つ.一方,浸水計算結果より13世紀頃の地震の波源は,十勝セグメントより根室セグメントの方がすべり量が大きい可能性があることがわかった.本研究の一部はJSPS科研費(20H01988)により実施した.
引用文献
・Nanayama, F., K. Satake, R. Furukawa, K. Shimokawa, B. F. Atwater, K. Shigeno, and S. Yamaki, 2003, Unusually large earthquakes inferred from tsunami deposits along the Kuril trench, Nature, 424, 660-663.
・中村淳路,澤井祐紀,松本弾,谷川晃一朗,伊尾木圭衣,2019,北海道霧多布湿原一番沢における津波堆積物の分布,第四紀研究,58,4,303-312.
・七山 太,重野聖之,三浦健一郎,古川竜太,2004,北海道東部,根室市別当賀低地において記載された4 層の津波砂層と広域イベント対比,活断層・古地震研究報告,4,9-15.
・Satake, K., F. Nanayama, and S. Yamaki, 2008, Fault models of unusual tsunami in the 17th century along the Kuril trench, Earth Planets Space, 60, 925-935.
・Ioki, K., Tanioka, Y., 2016, Re-estimated fault model of the 17th century great earthquake off Hokkaido using tsunami deposit data, Earth Planet. Sci. Lett., 433, 133–138.
17世紀と13世紀頃の津波堆積物の分布が違うことは,先行研究によって指摘されている.例えば,北海道厚岸郡浜中町霧多布湿原の一番沢奥部においては,17世紀および13世紀頃の津波堆積物の分布範囲が比較・検討されており,Nanayama et al. (2003)等より内陸で17世紀の津波堆積物が確認され,それよりさらに内陸(海岸から約4 km内陸)で13世紀頃の津波堆積物が確認されている(中村ほか,2019).また北海道根室市別当賀フレシマ湿原においても,17世紀の津波堆積物と,さらに内陸で13世紀頃の津波堆積物が報告されている(七山ほか,2004).
以上のような津波堆積物の分布状況を再現するため,津波堆積物の分布範囲と計算した浸水範囲の比較を行った.Satake et al. (2008)やIoki and Tanioka (2016)の先行研究では,17世紀地震の波源は,根室セグメントより十勝セグメントの方がすべり量が大きい特徴を持つ.一方,浸水計算結果より13世紀頃の地震の波源は,十勝セグメントより根室セグメントの方がすべり量が大きい可能性があることがわかった.本研究の一部はJSPS科研費(20H01988)により実施した.
引用文献
・Nanayama, F., K. Satake, R. Furukawa, K. Shimokawa, B. F. Atwater, K. Shigeno, and S. Yamaki, 2003, Unusually large earthquakes inferred from tsunami deposits along the Kuril trench, Nature, 424, 660-663.
・中村淳路,澤井祐紀,松本弾,谷川晃一朗,伊尾木圭衣,2019,北海道霧多布湿原一番沢における津波堆積物の分布,第四紀研究,58,4,303-312.
・七山 太,重野聖之,三浦健一郎,古川竜太,2004,北海道東部,根室市別当賀低地において記載された4 層の津波砂層と広域イベント対比,活断層・古地震研究報告,4,9-15.
・Satake, K., F. Nanayama, and S. Yamaki, 2008, Fault models of unusual tsunami in the 17th century along the Kuril trench, Earth Planets Space, 60, 925-935.
・Ioki, K., Tanioka, Y., 2016, Re-estimated fault model of the 17th century great earthquake off Hokkaido using tsunami deposit data, Earth Planet. Sci. Lett., 433, 133–138.