日本地震学会2023年度秋季大会

講演情報

B会場

一般セッション » S19. 地震一般・その他

[S19] AM-1

2023年11月2日(木) 09:15 〜 09:45 B会場 (F201)

座長:久保 久彦(防災科学技術研究所)

09:30 〜 09:45

[S19-02] MERMAIDで検出された2022年トンガ火山噴火に伴うT-phase解析

*村上 聡1、吉光 淳子2、Joel SIMON3、Yong YU4 (1. 神戸大学大学院理学研究科惑星学専攻、2. 海洋研究開発機構、3. プリンストン大学、4. 南方科技大学)

2022年1月15日04:14:45(UTC)にHunga Tonga-Hunga Ha’apai火山で大規模な噴火が発生した。この最大噴火の前後の04:00-04:30(UTC)にも複数の噴火が起きており、こららの噴火に伴って発生した地震波、大気波、気象津波がグローバル規模で観測された。このなか、近傍の海中に独自に展開しているMERMAIDにおいては、この一連の噴火で発生した水中音波が観測された。 MERMAID は、ハイドロフォンを装備した自律型フロートであり、高周波 (〜1 Hz) P 波から海底で変換された水中音波を観測し、その波形データを衛星通信で準リアルタイムで送信することができる。現在、地球深部構造を求めることを目的として約50 台のMERMAIDが南太平洋の海中を漂流している。MERMAIDは、地震P波を準リアルタイムに自動的に送信するシステムを有する一方で、自動的に送信されなかった期間でも陸上からのリクエスにより関心のある期間のデータを切り出すための連続データも保存している。大林ら(地震学会2022年度秋季大会)はHunga Tonga噴火に焦点を当てたリクエストにより得られたMERMAIDアレイのデータを紹介した。これらのデータから、まず観測されたシグナルが同じものであるかを確認するため、各波形同士で相互相関係数を計算した。次に、この噴火による水中音波は、チリに設置されたIMSハイドロフォンアレイで観測されデータにアレイ解析手法、beamforming fk解析を適用し、到来方向と見かけ速度を決定し、ソースの位置を推定した。最後に、Tarumi et al. (2023)のback-projection法により、衛星で観測された噴火と関連づけられた遠地地震の直達P波とMERMAIDで記録された水中音波との対応づけを行い、Tarumi et al. (2023)では確認されていない噴火の可能性について議論する。