一般社団法人 日本医療情報学会

[2-E-3-05] DPCデータを用いた臨床安全評価指標算出の試み

*松田 卓也1、松下 祐子2、木村 映善1 (1. 愛媛大学 大学院医学系研究科 医療情報学, 2. 愛媛大学医学部附属病院 医事課医療情報チーム)

DataWarehouse, DPC, Quality Indicator, Clinical Indicator

背景と目的:臨床指標(Clinical Indicator)、診療の質指標(Quality Indicator)は各病院における診療の質を評価するための指標である。病院の各分野に関する具体的な指標を定義し算出・分析し、改善を目指すことで医療の質の向上を目標とする。比較的入手が容易な既存のRWDを活用して臨床安全指標を評価することへの期待がなされている。我が国でも入手しやすいRWDとしてDPCデータがあり、比較的構造化されたデータである。しかし臨床上の情報が必ずしも含まれていない。そこでDPCデータからの臨床安全指標の算出可能性を検討することとした。
方法:当院ではデータウェアハウスとしてSDMを使用し、電子カルテデータのみでなくDPCデータをSDMに格納している。SDM内のDPCデータをSQL文により抽出し、臨床安全指標の算出を試みた。DPCデータによる算出が困難あるいは正確でないと判断した項目については医事システムやSDM内の電子カルテデータを用いて算出し、両者の相違点を検討した。
結果:DPCデータには入院件数が電子カルテデータより少なかった。DPCファイルは時間情報が日単位で入力されており、時間単位の計算を要する項目(24時間以内の再手術率)の算出が困難であった。SDMのテーブル定義によってDPC Hファイルの一部データ抽出が困難であった。
考察:DPCデータからの臨床安全指標算出では、自費診療、移植ドナー、歯科、院内出生などが含まれず、電子カルテデータより入院患者総数が少なかった。また、時間単位の指標は算出困難である。データを収納するSDM側の問題もあることがわかり、SDMコンソーシアムに報告して次のバージョンでの対応を依頼した。
結語:SDMに格納されたDPCデータからの臨床安全指標の算出可能性について検討した。