一般社団法人 日本医療情報学会

[2-I-2-05] 日本眼科学会のレジストリ構築とAIを用いた臨床研究体制への取り組みの現状

*柏木 賢治1 (1. 日本眼科学会)

Japanese Ophthalmological Society, information and communication technology, Japan Ocular Imaging Registry, Japan Ophthalmic Instrument Association

日本眼科学会では、2017年度から2019年度まで日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて、次世代眼科医療を目指すICT/人工知能を活用した画像等データベースの基盤構築事業を進めてきた。本学会では、この支援を基に眼科診療データの包括的かつ長期的収集体制の構築と収集されたデータをデータサイエンティストなどと協力して解析、成果を社会導出するエコシステムの構築に取り組んできた。助成期間中にデータの収集基盤となるレジストリシステムとしてJapan Ocular Imaging Registry(JOIR)を構築、その運用母体として社団法人を設立した。また学術的な支援を目的として臨床医学系学会としては初めて人工知能に特化した日本眼科AI学会を設立した。現在、この2つの組織を基軸にデータ収集体制の充実、さらに得られたデータをAIで解析、研究成果を挙げることに取り組んでいる。このような取り組みの継続のためには、他領域の組織の協力が必須であるため、本学会では国立情報学研究所を代表とする日本各地のデータサイエンティストとの共同研究を進めるとともに、成果の社会導出に必須となる企業との連携について、ほぼすべての眼科医療に関する機器、製剤などの製造・販売団体が所属する日本眼科医療機器協会(JOIA)との全面的な協力関係を構築している。この中で、AIを搭載した医療機器の普及などを主な課題としてJOIAの関連ベンチャーであるG-DATAが設立され、社会導出に向けての取り組みを行っている。現在の取り組みの代表として、眼底疾患のスクリーニングシステムの構築を進めている。本事業では頻度の高い眼底疾患を包括的に眼底写真により判定するシステムを構築、現在PMDAと医療機器としての認証に向けて交渉を行っている。その他、前眼部疾患や他の眼科疾患への活用に向けての取り組みも積極的に進めている。本講演では日本眼科学会が進めている取り組みと課題について提示したい。