一般社団法人 日本医療情報学会

[2-P-4-06] MID-NETを用いた動脈解離検討において相違が出た要因及びアウトカム定義の検証

*齊藤 敦子1、石井 晃1、油上 将也2、井上 隆輔3、中山 雅晴3,4、木村 通男5、鈴木 隆弘1 (1. 千葉大学医学部附属病院企画情報部, 2. 千葉大学工学部総合工学科医工学コース, 3. 東北大学病院メディカルITセンター, 4. 東北大学大学院医学系研究科医学情報学分野, 5. 浜松医科大学医学部附属病院医療情報部)

MID-NET, Real world data, Phenotype, Arterial Dissection

背景:当院はMID-NETを用いた「実用化可能なアウトカム定義の確立【動脈解離】」の研究に参加し1)、定義毎に陽性的中度(PPV)を算出した。その結果、東北大の機械学習により作成された改良型アウトカム定義の成績が当院においては満足の行く結果とならなかった。そこで、その背景を分析し、統合解析の品質を高めるべく対策を検討する事とした。
方法:1)改良型アウトカム定義について、本研究の3協力医療機関のPPV及び感度の算出の結果を評価し、背景を調査する。
2)当院において最適なアウトカム定義の条件をスクリプト作成しPPV及び感度を算出する。
3) 1)、2)の結果をふまえ医療機関間の差異の要因を検討し、MID-NETにおいて複数施設Databaseを統合解析する際の留意点について考察する。
結果:東北大学の改良型アウトカム定義のPPVは当院では60.0%と本検討全ての定義の中で5番目の値となり、感度は62.5%であった。患者背景因子別のPPVについては、男性が女性の約3倍高い91.7%を示した。年代別では60歳代で80%と高い値となった。また他のアウトカム定義の中で当院において1番高いPPVを示したものは逆に感度が最も低い結果となった。
考察:東北大と当院においては、元々の疾病構成の違いが、機械学習に影響を及ぼした可能性もあると考えている。また病名において当院では全ての真のケースが「2つのICD10コードに含まれたため、抽出条件として病名を更に絞ることも一案と思われた。
 現在、医療機関間の差異の背景因子を反映した当院において最適化されたアウトカム定義を検討している。大会までには報告できる見込みである。
参考文献1. 井上隆輔, 中山雅晴. MID-NETを用いた動脈解離の検索精度に関する検討. 第25回日本医療情報学会春季学術大会 e-Poster.