一般社団法人 日本医療情報学会

[3-H-3-06] 問題解決志向で考える医療のDXに向けた医療関係者の取り組む姿勢とは

*太田原 顕1,2 (1. 山陰労災病院、2. 名古屋大学医学部附属病院 ASUISHI/CQSOプロジェクト)

情報処理系分野に対して多方面の臨床系医療者から質改善要求が掲げられている。医療の情報化に関する現状の問題点・課題について、実臨床医師が多く、三現(現場、現物、現実)主義を掲げているASUISHI/CQSOプロジェクト研究会で要点を取りまとめ、整理・列挙した。
(1)医療の特殊性:公共性、不確実性、個別能力重視、高リスク
(2)医事・オーダリングシステム:公共性に対応したレガシーシステム
(3)電子カルテシステム:記録機能優先した統合システム
(4)組織内ギャップと組織間ギャップ:部門間の対立構成と調整能力
(5)内製と外注:業務差別化と標準化に向けた翻訳者の必要性
(6)未発達な診療支援システム:医療側の意識不足と翻訳者不足
こうした問題点を解決するために医療関係者(国・行政から個人・現場まで)は業種や役割の特殊性を強調・誇示するのではなく、次に掲げるような視点からワンチームの一員として協働を起こすことが望ましいと思われ、その結果、社会が求める医療のDXへの対応が実現されると考察する。
(1)国・行政を含めた組織やユーザーの共同行動
(2)業務工程の標準化とパッケージ化による効率化
(3)組織内外での多様化するデータ利活用への対応
(4)質改善可能なステークホルダー(各種翻訳者)の育成
(5)ヒューマンファクター工学視点でのデータ利活用とインターフェース改善
(6)質の高い内製とアジャイル開発の持続可能な風土の定着