一般社団法人 日本医療情報学会

[3-I-1] 放射線診療における線量情報管理 〜出来ること,出来ないこと,今後すべきこと〜

*坂本 博1、木村 通男2、松田 恵雄3、上野 登喜生4、川眞田 実5 (1. 東北大学病院、2. 浜松医科大学、3. 埼玉医科大学国際医療センター、4. 福岡大学病院、5. 大阪国際がんセンター)

Radiation dose, DICOM, RDSR, REM

2015年、医療被ばく研究情報ネットワーク(Japan network for Research and Information on Medical Exposure: J-RIME)により国内初の、医療被ばくに対する診断参考レベル(diagnostic reference level: DRL)が発表されました。その後、2019年3月11日には、医療法施行規則の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第21号)が公布され,2020年4月より診療放射線に関わる装置(被ばく管理対象はCT、核医学・PET、血管撮影装置)を備えている全ての医療機関は診療放射線の安全管理が義務付けられています.さらに2020年にはDRLの改定がなされ、特にCT検査においては小児の年齢や体重の区分が追加されています。IVR、血管撮影においてはKa,r(装置に表示される患者照射基準点線量)およびPKA(装置に表示される面積空気カーマ積算値)の追加、核医学の医薬品情報連携へと検討範囲を広げています。この状況下で2021年3月21日には、医療放射線被ばく管理統合プロファイルが厚生労働省における保健医療情報分野の標準規格(HS035)として定められました.この厚労省標準はIHEのREMでありDICOM規格のRDSR(Radiation Dose Report)となります。また、DICOM規格ではRRDSR(Radiopharmaceutical Radiation Dose Repor)といった核医学領域のRDSRも整備され、情報管理のための道具が増えてきました。各医療機関では、これらの道具を利用して、医療放射線の最適化の観点より医療被ばく情報の管理から2次利用まで様々な取り組みが始まりました。 本企画では、医療放射線管理の現状を確認するとともに、各施設ができること、現状ではできないこと、または課題、問題となる点、医療情報システムの利用と工夫、そして今後進むべき方向性について複数の施設の現状報告を交えながら会場の皆様と議論を行います。