一般社団法人 日本医療情報学会

[3-P-1-06] 大学病院における遺伝的アルゴリズムを用いた当直予定表作成システムの開発

*松尾 秀俊1、松永 卓明1、佐々木 康二1、岡田 卓也1、西尾 瑞穂1、河野 淳1、村上 卓道1 (1. 神戸大学大学院医学研究科 内科系講座放射線診断学分野 放射線診断学部門)

Scheduling system, Genetic algorithm, On-call schedule

[背景・目的]  
 医師の当直割り当てを考えるにあたり、医師の所属や個々のスキル、労働負荷や休日の割り当てなど様々な条件のバランスを考慮する必要があり、その作成には多大な労力が払われている。特に大学病院においては上記の制約が強く、所属する医師の数も多くなるため、考慮する必要のある組み合わせが莫大になり当直割り振り作成者の負担はさらに増大する。本研究では遺伝的アルゴリズムを用いたスケジューリングシステムを開発し、大学病院での条件への適応を試みた。

[Material & Methods]  
 平日の当直、土曜日・日曜日・祝日の日直、当直について医師27名のうち、各々1名を割り振ることとした。上級医(4名)、時短医師(3名)、その他医師(20名)についてそれぞれ当直不可を設定できる最大回数に異なった制限を設けた。各々の医師は①一週間に1回以上当直に入らない、②日直は月に1回以上入らないといった病院のルールに従うことと、③上記の当直不可と設定した日程に日当直の日程が重ならないことを主な条件とした。副次的な条件として④土日祝日における診断専門医(12名)の当直間隔を小さくすること、⑤当直回数を上級医、その他医師が概ね1:2になるように調整することの5項目を設定した。システムの開発にはpython3を使用し遺伝的アルゴリズムのライブラリとしてdeapを 用いた。当直不可の日程の入力にはbottle.py、bootstrapを用いて院内ネットワーク上PCのWEBブラウザから入力可能にした。

[結果]
 本システムの開発前は担当者が予定を考慮せずに名簿順に当直を割り振り、各々で交替するという手法を採っていた。開発後は先に各々の医師の予定を入力可能になったため、大幅な手間の削減に繋がった。遺伝的アルゴリズムを用いることで現実に即したより細やかな制限を主・副といった優先順位を持って設定することが可能となった。