一般社団法人 日本医療情報学会

[2-F-3-03] RFIDチップが体内に残存した場合のX線撮影に拠る探索可能性の検討

*海野 泰1 (1. 東京都健康長寿医療センター)

RFIDチップ装着の手術器具は、省力化や安全管理の上で有用と思われる。しかし、手術器具からRFIDチップが脱落する可能性があるならば、脱落した場合に体内に残存するRFIDチップを探索する手段が必要である。そこで、探索手段の一つとして、X線撮影でRFIDチップが検索可能か検討した。X線撮影には、手術室を出る前の異物チェックで一般的に使われるポータブルX線撮影装置を使用した。検討方法は、人体ファントーム上に7種類のRFIDチップを乗せて撮影し、目視で確認可能かチェックした。ポータブルX線撮影装置は、富士フィルムメディカルCALNEO Go Plus、FPDパネル:DR-ID1212SE、パネルサイズ:17inch×17inch、シンチレータ:CsI、画素サイズ:150×150μm、撮影条件:80Kvp、5mAs、FFD120cm、撮影パラメータ:腹部標準+バーチャルグリッドを使用した。結果は、目視で確認可能であったRFIDチップは2種類のみで、他の5種類はRFIDチップのある場所が特定できていても確認できなかった。確認可能であったRFIDチップの厚さは2.1mm、確認出来なかったRFIDチップの厚さは0.3mm以下であり、確認の可否は、主にRFIDチップの厚さであったと考えられる。体内にRFIDチップの残存が疑われる時、RFIDチップは小さいため、手術野の中を目視で探すことは困難である。患者が手術室に居る内に脱落したRFIDチップの探索に利用できる装置は、主にポータブルX線撮影装置であると思われる。このため、安全管理上、ポータブル撮影で確認可能な厚さのRFIDチップを使用する必要があると考えられる。