一般社団法人 日本医療情報学会

[4-C-1-04] 当院病院情報システムにおけるアラート分類と現状調査

*石田 博1、樫部 公一2、平野 靖2、金川 賢一3、宮下 博好3、高濱 秀樹3 (1. 山口大学大学院医学系研究科医療情報判断学、2. 山口大学医学部附属病院医療情報部、3. 富士通Japan株式会社)

alert, clinical decision support, alert fatigue

現在の病院情報システムでは、医療の質向上や安全性向上のために、医療現場に向けて発出される様々なアラート機能が実装されている。これらのアラートは、(1)診療上での医学的な観点からの注意喚起、運用およびシステム機能の整合性などの目的の違い、(2)エラーや警告(ワーニング)などのメッセージ強度の違い、(3)アラート作成(チェック)のタイミングの違い、(4)表示方法の違いなどの視点から分類される。
当院における2021年度のアラートの状況について、そのような分類に沿って調査を行った。オーダー入力時のチェックでは総オーダ数の8.0%にアラートが発出されていた。そのうち、業務やシステムによるオーダーの整合性に基づくエラーアラートが2.9%、主に医学的見地からの警告アラートが5.1%であった。それらのエラーメッセージのログを分析した結果、エラーアラートの約2/3はキャンセルされ、残りは修正後に登録されていた。他方、ワーニングアラートの多くは、修正されることなくそのまま登録されていた。この中で最も多かったのは同日同一行為に対するアラートであり、オーダ種別などによって対応が異なったことから適用の見直しが必要と考えられた。また、アレルギー薬に対する入力情報によるアラートのあり方の見直しも必要と考えられた。一方、CDSSから発せられるアラートへの対応は、オーダ時チェックによるアラートと比較してその割合が高かった。
これらのアラートは医療スタッフへの効果的なメッセージであることが求められるが、現行のワーニングメッセージの多くが無視されている状況から、アラート疲れを引き起こしている可能性が高いと考えられる。これらの医療者のアラートに対する対応状況を踏まえ、医学的な観点から注意喚起を促すアラートの抜本的な見直しが必要であると考えられた。