日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT35_1PM1] 地球人間圏科学研究のための加速器質量分析技術の革新と応用

2014年5月1日(木) 14:15 〜 16:00 311 (3F)

コンビーナ:*中村 俊夫(名古屋大学年代測定総合研究センター)、松崎 浩之(東京大学大学院工学系研究科)、笹 公和(筑波大学数理物質系)、永井 尚生(日本大学文理学部)、南 雅代(名古屋大学年代測定総合研究センター)、座長:南 雅代(名古屋大学年代測定総合研究センター)

14:15 〜 14:30

[HTT35-P04_PG] 長崎県鷹島沖海底泥土中から引き上げられたされた元寇関連資料の14C年代測定

ポスター講演3分口頭発表枠

*中村 俊夫1 (1.名古屋大学年代測定総合研究センター)

キーワード:AMS 14C年代測定, 歴史資料, 沈没船遺物, 元寇, 船体汚損貝

2011年10月24日の夕刊で,鎌倉時代に来襲した元寇の沈没船とみられる船体が長崎県松浦市の鷹島沖で見つかった事が大々的に報道された.元寇の際に使われた船とされる木材などが過去に見つかっていたが,今回は船の構造がわかる状態で発見されており,元寇船復元の研究が大いに進むことが期待されている.
 著者らは,2006年5月10?11日と長崎県松浦市鷹島町の松浦市立鷹島歴史民俗資料館および鷹島埋蔵文化財センターを訪問し,既に鷹島周辺の海底から採取され保存されていた元寇関連資料を分取させて頂いた.この調査は,科学研究費補助金基盤研究(B)「海底遺跡出土遺物の調査・分析・保存に関する基礎的研究」を遂行するうえで企画したものである.海底から採取された考古学・文化財科学における遺物が正しく元寇に関連するものであることを年代測定から確かめるために,採取した試料について,名古屋大学年代測定総合研究センター所有のタンデトロン加速器質量分析計による放射性炭素年代測定を行った.
 その後,2011年に発見された沈没船の調査が進み,鷹島沖合の水深20?25mの海底において,約1mに砂泥に埋まって見つかった沈没船の船体の竜骨(キール)の調査において採取されたさまざまな遺物の中から,貝殻類を分析研究に提供頂けることになった.採取された貝殻には,浅海底の何処かに以前生息していたものであり沈没船と何の関わりも持たないものが多いが,一方では,航行使用中の船の船底に付着して生育する船体汚損種の貝も含まれている.そこで,提供して頂いた貝殻の14C年代測定を行った.これらの結果をここに報告する.